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3月20日M「マッチ売りの少女」川崎アートセンター

作:別役実、演出:松本修、MODE。私は早稲田小劇場での自殺した小野碩の衝撃的な演技が記憶に残る1966年の初演を観ているが、当時は人々の戦後の生活の苦難の記憶がナマナマしかった。この不意の姉弟の訪問で、幸せ風につくろって暮らしている夫婦が記憶の封印が暴かれる芝居はアクチュアルだった。そういうアクチュアリテイから遠い現在での上演を松本は、戯曲のト書きどうりの古風なメランコリックな雰囲気が溢れた芝居に仕立てた。端正でスタイリッシュな演出で人間の記憶の闇の物語として不条理劇というような枠を超えた別役の名作だということを示してくれた。主題歌はザ・ピーナツの「心の窓にともし灯を」、松本は自分の演出したどんな芝居で音楽の使い方が巧い、選曲の名人だ。

by engekibukuro | 2009-03-21 09:05 | Comments(0)  

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