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8月27日M★「エル・スール」S★★「寺山修司」

★作・演出:東憲司、トム・プロジェクト、本多劇場。舞台は東の故郷福岡。博多の長屋だ。そこに住む貧しい人々、朝鮮人一家。それと石炭廃絶の三池の労働争議の敗北から流れてきた遊郭の女。時は昭和33年。西鉄ライオンズが日本シリーズの巨人戦で3連敗から鉄人投手稲尾の豪腕で4連勝し優勝した年。ラオンズは福岡の博多の人々の夢だった。ライオンズが勝てば貧しさも苦しさも一切忘れられた。東はそんなライオンズにまつわる長屋の人々の暮らしを、熱狂的なファンの一人の少年を通して、愛おしさに溢れた筆致で描く。少年をたかお鷹がはげ頭の實年齢で演じるのが一つのミソ。ほかに一寸淫らな長屋のオバサンを松金よね子が快演。東の郷土愛にじかに触れる舞台だが、台本も俳優もやや気が張りすぎた感もある。東の劇団「桟敷童子」の外山博美がラストに今の時代の少年役でちょっと出てきたとき、少しホットしたのそのせいか・・・。
★★作・演出:高取英、月蝕歌劇団、紀伊国屋ホール。これは高取の「寺山修司 過激なる疾走」(平凡社刊)を舞台化したもの。初演は昨年の8月で大好評だったので劇場側から再演を要請されたそうだ。また、この上演は月蝕歌劇団25周年記第一弾だ。よくもこの「暗黒の宝塚」と呼ばれた特異な劇団がここまできたものだ!高取英の夢の持続力・・。この舞台も鷹取の師である寺山の生涯をあますところなく描ききっている。特に中心は母親の寺山ハツとの凄まじい地獄のような母子関係の愛憎の深さの描出。むろんバックにはJ・A・シーザーの呪術的な音楽のうねりのにのった、セーラー服、レオタード姿など異装の少女たちの群舞が舞台を圧する。毎回新人が加わる少女役の多数のメンバー、高取のオーラが健在の証拠だ。

by engekibukuro | 2009-08-28 09:12 | Comments(0)  

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