9月23日MS「ユートピアの岸へ」(作:トム・ストツパード)

翻訳:広田敦郎、演出:蜷川幸雄、Bunkamura20周年記念金特別企画、シアターコクーン。開演12:00、終演10:20の無論休憩はあるが、10時間になんなんとした第1部、2部、3部を通してみた。このロシヤ、ヨーロッパにまたがる19世紀の革命家、それにまつわる多種多様なインテリゲンチャ、その家族、召使を演じる多数の俳優の、阿部寛、勝村政信を筆頭にしたした演技陣の総体としての水準の高さをまざまざと感じさせた舞台だったこと。この成果は蜷川マジックでもあるのだろうが、俳優たちの自主努力の結果だろう。膨大で難解なセリフを芝居の中に違和感なしに溶け込ませたことは相当凄いことだ。日本の現代劇の底力を確かめられた喜ばしいことだった。19世紀の亡命革命家、ゲルツエン、バクーニン、オガリョフなど日本では馴染みのない人々の運命を描いたこの芝居の現在でのかかわりは、いまやロシヤでもヨーロッパでも日本でもインテリゲンチャという社会層が全く存在しなくなったということをを巡問題だろう。しかし、この芝居はかってのインテリに対するノスタルジアではなく、難しいが多くの示唆に満ちていて、これから考えることだが・・・。しかし、この資産家の亡命貴族たちの物語は凄まじい色恋沙汰、スキャンダルも重要部分で物語そのもとしても十分面白いのだ。カーテンコールには客席はスタンデイングオベレーション、舞台側もこれに応対してお互いの”敢闘”を讃えあった。この芝居をよりよく理解したい方たちには、この芝居の元になっている本2冊を紹介しておく。英国の国際政治学者でロシヤ史専門のE・H・カーの「浪漫的亡命者」(筑摩書房)、ちなみにこの本は寺山修司の愛読書だった。もう1冊は同じくE・H・カー「ミハイル・バクーニン」(未来社)。版元には在庫切れだろうが図書館にはあります。
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by engekibukuro | 2009-09-24 18:33 | Comments(0)  

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