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10月25日M★「ソビエト」S★★「盲導犬」

★ーマヤコフスキー生誕116年ー。作・演出:小池竹見、双数姉妹、座・高円寺。初演は16年前、たしか大隈講堂脇のテントで観た記憶がある。ソビエトの夭折した詩人マヤコフスキーが主人公。装置はロシヤ・アヴァンギャルドの構成派風。芝居はある劇団の話。ツアーの時代には官憲の検閲で初日前に台本がズタズタにされ舞台はめちゃめちゃになってしまう。革命後は革命権力の検閲が厳しい。芝居は、そういう権力の検閲で右往左往する俳優たちの生活と、劇中劇がパラレルに進行してゆく。マヤコフスキーとおぼしき人物は劇団の中心になっている。ソビエトが壊滅した現在、この芝居を再演するのは、なかなか斬新で野心的な試みだったが、、話が冗長ぎみで成功したといえないのが残念だ。
★★作・演出:唐十郎、唐組、雑司が谷・鬼子母神境内テント。「何故、そんなに飢えるのか 俺のファイキル 何故 そんなに影をにくむのか 俺の犬」・・盲導犬ファイキルに逃げられた男とフーテン少年、そしてバンコックで夫を亡くした未亡人らが、新宿のコインロッカーの前で繰り広げるドラマ。初演は新宿アートシアターでの蜷川幸雄演出。主人公は蟹江啓三だった。たしか初舞台だった桃井かおりが扮した婦人警官のミニスカートがまぶしかった。今回初めて唐が演出した。盲人と少年の心が溶けあってゆく交流、未亡人の絶望、ときおり聞こえる幻の犬ファイキルの咆哮、コインロッカー前の彼らを囲む種々の人物たちをまじえた騒擾は豊穣だ。今回は盲人の稲荷卓央、未亡人の藤井由紀らのベテランに向かう、高木宏、岡田悟一、気田睦らの若手の活躍が目覚しい。唐は「五人の愛犬教師」の一人として出演。コーラスのあとに一人でソロを歌うと、鳥山昌克に「この芝居に無関係の芝居の主題歌を歌うな」と制止される場面が大爆笑。たしかその歌は「ジョン・シルバー」の主題歌だ。唐世界に共振する客が一杯のテントの千秋楽だった。

by engekibukuro | 2009-10-27 07:55 | Comments(0)  

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