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12月17日M★シアターコクーンS★★赤坂レッドシアター

★「東京月光魔曲」(作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィチ)Bunkamura二十周年記念企画。昭和4年の東京を舞台にした猟奇ミステリー劇。レトロの雰囲気が立ち籠もった舞台には、近親相姦とか変態とかの魔が人間生活のちゃんとした常態の姿として現れていた。約3時間半の舞台をを緩み無くまったく飽きさせず見せてしまうケラのストーリーテリングの力が素晴らしい。ただ、話の芯を目指すケラ独特の求心力が今回は弱い気がした。主役、瑛太、松雪康子以下大鷹明良など豪華キャストだが、面白いのは小劇場の主宰者3人、赤堀雅秋(THE SYAMPOO HAT)、岩井秀人(ハイバイ)、長谷川寧(富士山アネット)がでていることで、中ではケラの芝居では常連に近い赤堀が、得体の知れないならず者を演じて異彩を放っていた。
★★「リンゴ、リンゴ、リンゴ」(作・演出:中島淳彦)劇団道学先生。中島は道学先生には5年ぶりの新作だそうだ。かって道学先生に書いた中島作品は中島の故郷宮崎の海が背景になっており、どんな暗めの話、どうしようもないような人間がでてきても、海の明るさと笑うきゃない道筋が救いになっていた。ところが今回は千葉の昔は温泉がでたが、今はさびれた土地で、元売春宿のアパートが舞台で、そこへ借金でクビが回らなくなった三流作詞家が転がり込んできた。そこの住人は孤独で奇矯な老婆や変人ゴルファーたちで、さらに作詞家が歌謡学校の授業料を横領したのが原因で殺人事件を起こした弟子が脅しにやってきた。不景気な時代のせいかどうも暗い話で救いが無い。主役の青山勝、いま絶好調の六角精児など巧い役者がそろっていて面白い芝居ではあるのだが、期待していた笑いが少ないのが残念だった。

by engekibukuro | 2009-12-18 12:32 | Comments(0)  

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