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2月10日M★吉祥寺シアターS★★座・高円寺

★「アイ・アム・マイ・オウン・ワイフ(作:ダグ・ライト、演出:坂手洋二)燐光群。吉祥寺シアターの本舞台ではなく、1階のホールに舞台を設えて、客は2方から観る。座席はこの芝居の主人公シャーロッテ・マールスドルの肖像写真を入れた真珠の首飾りをかけた写真立てが置かれたテーブルの周囲の4脚の椅子で、それが単位になって客席が設えられている。まあ、くつろいだサロン風だ。シャーロッテはドイツの古美術を扱う店を持ち、地下にはいかがわしい秘密バーがある。シャーロッテは異性装者のゲイで、レスビアンの叔母に励まされて生きてきた。ナチの時代も、東ドイツの共産党支配化の社会でもハイヒールを履いて生き抜いてきたこの芝居は、その複雑多岐な生涯をアメリカ人のジャーナリストはインタビューするドキュメンタリードラマだ。2004年にはピュリツツアー賞、トニー賞を受賞した。元来は一人で40人もの人物を演じ分ける一人芝居だが、多人数版もあり、燐光群は16人編成で上演した。壁崩壊後には文化財保護で国から表彰されたりしたが、その人生には暗い影がつきまとい、東ドイツ時代には秘密警察への密告常習者だったという疑惑も浮上する。インタビューアーは「彼女」に翻弄され真実ははぐらかされ続ける。そして20世紀そのもの真実が個人を超えて顕かになってゆくのだが・・・。面白い優れたテクストだと感じられて、その紹介は価値があるが、それを十全に舞台から伝えられたかは万全とはいいにくい印象を持った。
★★「監視カメラが忘れたアリア」(作・演出:鴻上尚史)虚構の劇団。再演だが、この戯曲は昨年の読売文学賞を受賞した。大学の監視カメラから端を発する芝居。大学のサークル広場に広場を監視するカメラにむかって「監視カメラを監視する」会というサークルがカメラに対峙し監視し続ける。その横では演劇サークルが芝居の稽古をしている。「監視する」会の発案者のリーダーは卒業して渋谷警察に勤務して監視カメラのチェックを担当するようになった。ある日カメラに映った渋谷の町を歩く自分の妻を見つける。その時間に渋谷へ出てくるはずがない・・。この芝居は、監視カメラに囲まれた現代の日本のセキュリテイ社会を告発し、問題提起する。監視カメラが家庭を崩壊帆させる危険を描く、極めてアクチュアルな芝居だ。鴻上はこの若い劇団でも問提起もさりながら、第三舞台のスタイルを保持し続けて、ブレイクダンスを交えた舞台の賑々しさは今の若い客を喜ばせていた。恒例の手書きの「ごあいさつ」が自分の学生時代のサークル活動のことを書いていて随分と読ませる文章だ。
▼メモ。昼前リビンにゆき、Mさんの勘定場でウイスキー2本買う。これで当分の間のウイスキー確保。午後副都心線で新宿三丁目へ、丸の内線に乗り換えの荻窪へ。JRで吉祥寺。吉祥寺シアターで燐光群「アイ・アム・マイ・オウン・ワイフ」を観る。戸を開けっ放のホープ軒でラーメンを食べる。寒気がスープの熱さうまさに加勢する。シャノアールで内田洋一「野田秀樹」を続行。高円寺へもどり、座・高円寺で虚構の劇団「監視カメラが忘れたアリア」を観る。鴻上氏に「読売文学賞受賞おめでとうございますと挨拶する。新高円寺まで歩いて、副都心線で帰宅。大根と揚げの混ぜ御飯とのどぐろの干物。ブロッコリーノサラダ。

by engekibukuro | 2010-02-11 12:01 | Comments(0)  

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