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3月1日S「農業少女」(作:野田秀樹、演出:松尾スズキ)

東京藝術劇場。久しぶりに松尾スズキテイストを満喫できたしばいだった。この野田のテクストは演出家によっていかようにも料理できる融通無碍なところがあって、演出家の腕次第。とにかく配役がいい。吹越満、山崎一、江本純子、そして新人の多部未華子。この多部のフレッシュで物怖じしない演技は特筆もの。彼女を見るだけでもこの芝居は価値がある。毛皮族の芝居とは打って変わったジミみたいで、しかし変幻自在な芝居をする江本もいい。吹越や山崎は松尾の意を全面的に呈して自由自在。演出家松尾の力に改めて瞠目した舞台だった。それで、松尾が役者で出演してやたらに面白かった初演とは違った面白さで、「農業少女」の舞台を堪能できたのだ。この田舎と都会を往復する、日本人の基幹食品である米の稲作空間と都会の浮遊区間とを往復し、最後には鉄路のレールに寝て、やってくる列車の音を聞くことだけが生きている証になる少女の物語は、その意想外の変化の連続を、櫓つきの小屋の多様な使い方で見せて、まさに「演劇は身体と詩の交点である」という野田の定義を立証したのだ。

▼3月は芝居が多い。予定を立てるのが大変。夜池袋の東京芸術劇場へ。同列の席の菅孝行さんから「自由人佐野碩の生涯」を書いた岡村春彦さんの近況を聞いた。菅さんはこの本でとても良い解説を書いている。岡村さんは病気もよくなって、ちゃんと喋れるようになり、ただ固有名詞が出てこないそうだ。「農業少女」の初日乾杯。多部さんはみたところ普通のお嬢さんで、舞台であれほど輝くのがフシギなくらい。松尾さんは5月のパルコの三浦大輔作・演出の芝居に出る。三浦さんの演出がそうとうなものらしいから、いまからびっびているそうだ。野田さんが毎週k連載している、愛読している「AERA」のコラムは2時間で書くとのこと。帰宅、ポークソテイとサラダ。

by engekibukuro | 2010-03-02 11:16 | Comments(0)  

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