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4月10日(土)M「夢の裂け目」(作:井上ひさし)

演出:栗山民也、新国立劇場。・角野卓造・木場勝己・大鷹明良・高橋克実は今の尾演劇界では最高水準の俳優たち。・クムラ緑子・熊谷真美・土居裕子・藤谷美紀、それぞれの個性の完全開花。ほかに独特の存在感の石井一孝。以上のメンバーを最高度に活かしたいま油の乗り切った栗山の演出。クルト・ヴァイルの曲を多用した音楽監督久米大作の選曲。井上の歌詞、ヴァイルの曲を俳優たちが自在に楽しく歌って、これは井上の手を借りたブレヒトの叙事演劇の日本での最高の達成、最高のサンプルだ。それは東京裁判という日本の歴史の重大事を、現在の段階で考えさせる異化効果の達成だ。紙芝居の「満月狸合戦」が東条英機に戦争の全責任を被せて、天皇を免責するというアメリカ・日本の策謀を先取りして暴いたというとってつけたような話が、かくもリアリテイがあり、さらにその真実が分かっても民衆の天皇制支持は微動だもせず、そのことを考えてもわけがわからなくなり、しかもせっかく生まれたのだから毎日を楽しく暮らすというのは仕方ががないこと、インテリの観念的論議では民衆のアポリアは解決しないという現在でも日本とアメリカとの関係を含めた絶大なアクチュアリテイを感じさせ、思考を促すのだ。

▼メモ。K園から初台へ。1年ぶりに劇場でドイツからかえった新野守宏さんに会う。おもろへ。今日は中川君と亀谷先生。帰宅、孫をつれて息子一家がくる。孫は6か月、ハイハイもどき段階。太刀魚の刺身、春巻きほか、赤ワインで・・。マリナーズもエンゼルスも下馬評をひっくりかえして3連敗。イチロウ、松井が打っても負けてはしょうがない・・。

by engekibukuro | 2010-04-11 11:41 | Comments(0)  

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