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5月20日(木)M「裏切りの街」(作・演出:三浦大輔)パルコ

携帯電話で異性と話すサービスで知り合った人妻とフリーターがぎこちなく会って、ぎこちなくホテルに行く関係をだらだらと続けてゆく。フリーターには恋人がいる。二人は罪悪感に苛まされているが、会ってもテレビの番組の話ぐらしか話題がない。ただ体を結ぶだけだが、人妻は心から満足している。しかし、人妻は夫に、フリーターは彼女に浮気がばれてしううえに、人妻は妊娠してしまう。仕方なく二人は夫と彼女に告白しようと決めたが、妙な具合に許されてしまう。夫は浮気相手の子としりながら喜び、彼女も浮気していたのだ。しかも夫には女がいた。温度の低い、最低の関係のように見え、自分たちもカスだ、クズだと思っているが、三浦はそういうお互いに名前も知らないような二人の関係にこそ、純粋な愛の形をホンキで見出しているようだ。その気配が二人の基底にあるからこそ、この一見単調な芝居が3時間飽きずに観ていられるのだ。ボソボソ喋りうつむき加減に歩く男と、秋山菜津子の孤独感を放出する人妻が無人の坂を登って行く姿がなんともいえない美しさがある。この秋山、男の田中圭、邪悪感漂う松尾ススキ、三浦芝居の常連の古澤裕介、米村亮太朗が三浦の意十分に呈していた。それにしても人物たちの台詞の喋り方が、現代口語演劇の口調そのままで、いまさらながら平田オリザの影響の深さを改めて感じた。

▼メモ。久しぶりにSさんと「裏切りの街」を観た。三浦の芝居を初めて観るから、反応が気になったが、”主人公の二人は純粋だわ、見応えがあった”と彼女がいったので安堵した。かえりに白金のそば屋利庵で飲む。升の冷酒が旨い。むろん蕎麦も。

by engekibukuro | 2010-05-21 12:53 | Comments(0)  

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