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6月3日(木)S「恋する虜」(作・演出:桃山邑)水族館劇場

駒込大観音境内特設蜃気楼劇場。今回で見納めになるらしい。この境内で何回も来て何度眺めてもこの境内の大樹と競い合う荒野の城のように聳え立つ劇場の偉容に感嘆する。今回の舞台は魔都上海、水辺の廃園を中心に、阿片窟に因襲するギャングや最果ての芸人ら、魑魅魍魎が暗躍して、今回は明治大学教授・学魔高山宏が黒眼鏡の”魔界からの使者”として特別出演、舞台を圧するオーラを放っていた。プロローグには劇場のテッペンを旋回する飛行機が驚かし、銀粉の粒子を輝かせて幕が落ちるとき、忽然と回転木馬が出現し、舞台の頂点から瀑布のごとく落下する大量の水がどよめき、境内の大樹の梢に光が与えられ、一幅の絵画のような美の極点を示した。役者の芸を吸い込むようなインスタレーション、水のスペクタクル。母親と一緒に観ていた幼児の女の子三人が、まばたきもしないように最後まで息をつめたよぅに観ていたのが印象的だった。

▼メモ。年金生活者の数少ない贅沢が、たまに行く本郷真砂町のもとの勤務先のそばのうなぎや鮒兼、並みの鰻重を(この店は関西風に蒸さずに焼く)を食べてから湯島まで歩き、千代田線で千駄木へ。ここのコーヒー豆直売店の2階のカフェでスタニスラフスキー「俳優の仕事」第一部572ページをやっと読み終わる。今まで流布していた山田肇の英訳からの翻訳「俳優修業」のロシア語からの訳。版元は「俳優修業」と同じ未来社。長いあいだの宿題だったのでひとまずほっとした。そこから駒込大観音まで歩いてすぐ。水族館劇場の今回の制作をシアターアーツの編集仲間の梅山いっきさんが担当した。黒ずくめの裏方姿で劇場に、カーテンコールで桃山に紹介されていた。

by engekibukuro | 2010-06-04 07:27 | Comments(0)  

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