人気ブログランキング | 話題のタグを見る

7月7日(水)S「ファウストの悲劇」シアターコクーン

作:クリストファー・マーロウ、訳:河合祥一郎、演出:蜷川幸雄。シェイクスピアと同じエリザベス朝の大劇作家の有名戯曲の上演だ。ファウストを演じるのは野村万萬斎、蜷川初舞台の白井晃、長塚圭史が出た。開幕冒頭からジェット噴射の火花が散り、フライングの天使や悪魔が天井から群れをなして揺れ動く。バックは歌舞伎仕立ての楽屋が透けて見える。ずいぶんと派手で、贅沢な舞台でまるで遊園地のよう・・。出演者のたかお鷹がパンフで「この芝居は高級な児童劇」だと語っていたが、いいえて妙。ファウストの心の中の神と悪魔の葛藤は、様々な彷徨の体験が明確でよく視える。萬斎はでっずぱりの大奮闘。蜷川組の達者な常連役者に混じって長塚が生彩を放つ。際立ったのは小人役者のマメ山田。台詞は少ないが、急所のシーンに必ずでて、広い舞台の極小のアクセントとして印象的だった。

▼メモ。蜷川演出のコクーンのパンフの楽しみは蜷川の各方面の人との対談。今回は映画監督の若松孝二。若松は寺島しのぶが若松監督の「キャタピラー」でベルリン映画祭銀熊賞(最優秀女優賞)を受賞。そのトロフイーを寺島が出演している蜷川演出「血は立ったま眠っている」の大阪公演の会場に届けた。同時代体験を持つ二人は74歳。二人ともまだまだ頑張りそうだ。
・吉田敏浩「密約」読了。日米協定の正文をアメリカ側に都合の良いように秘密の付属文書をつくり、アメリカと密約していることを丹念に文書を集め、取材した地味な本だが、日本の従属が明確に肌に感じられるような本だ。
・メジャーリーグ西地区マリナーズはオールスター戦前に首位と15ゲーム差。イチローは10年連続でオールスター戦に出るが、チームの上位進出はもうムリ。弱いチームを応援するのは大変だ。

by engekibukuro | 2010-07-08 11:03 | Comments(0)  

<< 7月9日(金)M「受付」(作:... 7月6日(火)M「エネミイ」(... >>