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10月6日(水)M★演劇集団円S★★青年団

★「シーンズ・フロム・ザ・ビッグピクチャー」(作:オーウエン・マカファーテイー、演出:平光琢也)、紀伊国屋H
・舞台は北アイルランドのベルファースト。短いシーンが連鎖してゆく芝居。雑貨屋に買い物にくる客が中心だが、その客たちのそれぞれは無関係な生活が描かれてゆく。オルドリッチ監督の「ショートカッツ」のような、はじめは無関係な人物達が時を追ってゆくうちに結びつく。ベルファーストの若者から老人まで21人までの人物が登場する。エピソードは多種多彩だが、総じて貧困、病苦、夫婦不和などアンハッピーな人たちだ。とくに若者たちは仕事もなく、裏社会の使い走りやクスリにのめりこんで全く希望が見出せない。若者の一人はラスト近くに「この町はだいきらいだ」と叫ぶ。ベルファーストの下層階級の暮らしの一日を描き、1枚の大きなピクチャーが出来上がった。エピソードをつないでゆくマカファーテイーの作劇は非常に巧みで、演出もていねいに舞台化し、俳優たちもベテランの有川博、高林由紀子以下、生活感がじかに感じられる演技だ。ベルファーストの生活はひとごとではない。世界中の町に同じ状況が存在しているのだ。
★★「Sablese&Soldoats](作・演出:平田オリザ)こまばアゴラ劇場。「砂と兵隊」のフランス人俳優を中心にしたフランス語版。フランス人には砂漠が良く似合う。フランス映画には、「外人部隊」や「マノン・レスコー」のような砂漠を舞台にした名作があり、アルジェリアなどフランス旧植民地にはサハラ砂漠がある。だからフランスの軍服を着て砂漠を行進するフランス人俳優はサマになっていて、芝居に説得力があった。
▼メモ。上野の芸大にシャガール展を見に行った。シャガールは一寸苦手だったが家人のすすめでいった。会期が終わりに近いので超満員。いいものだったが、特に舞台美術の背景幕に描いた絵がいい。こういう幕で舞台を観たら素晴らしいだろう。それと大好きなカンデインスキーの絵があったのが嬉しかった。ロシアで描いた抽象画にゆくまえの小品の風景画だが、ちょっとつめたが、静かな幸福感に溢れていた。
・渋谷の東急本店の裏のなか卯で親子丼を食べた。週刊文春のB級グルメガイドで自分でもレストランタをやっている田崎ソムリエが推薦するだけのことはある、タマゴもトリもうまい。すじ向いにベローチェもあって、新宿、三茶、下北沢にはあるが渋谷になかった拠点ができた。
・夜は神保町の萱へ。製本の老舗矢沢製本の社長矢沢さんと話すのに時間をとられて、Sちゃん、コナツとお喋りする時間がなかったのが残念・・・。
・週刊新潮で福田和也が今度の尖閣問題は、日本人を中国の野蛮さを覚醒させた絶好の機会だったと書く。
日本人は中国を性善説でみているが、近代日本は文明(日本)と野蛮(中国)の戦いだったと。果たしてそうなのか・・・。・

by engekibukuro | 2010-10-07 12:17 | Comments(0)  

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