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12月22日(水)Sピアノと物語「アメリカン・ラプソデイ」

ーガーシュイン・オン・ガーシュインー。作:斎藤憐、演出:佐藤信、座・高円寺。
 なにしろ佐藤充彦のピアノでガーシュインを聴ける、これは年末屈指の出来事だ。舞台中央にピアノ、下手にヤッシャ・ハイフエッツ(高橋長英)、上手にゲイ・スウイフト(関谷春子)、この二人の往復書簡の形で、ガーシュインの生涯が語られる。無論、要所要所で佐藤がピアノを弾いてゆく構成だ。斎藤のテクストの特長は、持ち前の教養の豊かさ(特に音楽の)もあるが、豊富な資料の精査に秀でていて、とにかく情報量の豊かさの魅力なのだ。ロシア系ユダヤ人の靴職人だった父親、ろくろく学校にも行っていない赤貧の暮らしから、たまたま手に入れたピアノで音楽家としての才能に目覚め、開花するまでの道程が語られ、実直で優秀な詩人の兄との比較、世に出ると母親に冷たくされた補償なのか、次から次と女を引っ掛ける女たらしに・・。正規の作曲法を学習していないガーシュインの曲は、批評家には毎回酷評されたが、アメリカの民衆には愛され、売れた。ガーシュインが絵も描いたし、ナチス・。ドイツに追われてアメリカに来たシェーンベルグとも親しい友達になったとは・・・。佐藤は「スワニイ」以下、数々の名曲を弾くが、ガーシュインがパリで知り合ったラヴェルのボレロもシェーンンベルグも弾いた。座・高円寺のオープニング公演の「ユーリンタウン」(流山児★事務所)の主役を演じた関谷が、「サマオタイム」を絶唱、ブラボーの声がかかる。ガーシュインといえば、演出の佐藤信が、夫人の竹屋啓子のダンス公演のために書いた、ガーシュインの音楽をふんだんに使った「ハムレットの新聞」という傑作を思い出した。ろくでもない今の日本の歳末での楽しい一晩だった。
▼幕間に佐藤信(信さん大病が癒えたが、タバコをやめた、吸う気が起こらなくなったそうだ、あのパイプ姿が消えたのだ)、島次郎(島さんの美術のTPO「恐るべき親たちが」が文化庁の藝術賞を獲った)、内野儀(岡田利規の話)、流山児(佃正彦の新作の話)、久しぶりの若杉宏ニ(イクメンで舞台は来年だそうだ)さんたちに会った。・今年最後の出版健保へ。風邪薬を生まれて初めてもらう。・北京亭で五目チャーハン、中国人のコックだが、一流の店ならともかくチャーハンなどは日本人のコックのほうが味覚があうようだな・・。・ジャヤレド・ダイアモンド「銃・病原菌・鉄」(上)読了。名高い名著をやっと読んだ。スペインの征服者ピサロは168人の兵隊で8万の軍をひきいたインカ皇帝アタワルパを捕らえてインカを滅亡させた。銃の威力。旧世界の新世界征服は、銃だけでなく、旧世界の人間が免疫をもつ病原菌を新世界の免疫をもたない人間に感染させて滅ぼした・・。・奥秋君の奥さんが手縫いした限定販売している赤子用のじんべいを、孫の正月祝いにと奥秋君に持ってきてもらった。よく出来ていて、渡すのが楽しみだ・・・。

by engekibukuro | 2010-12-23 11:04 | Comments(0)  

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