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1月6日(木)S「大人は、かく戦えり」シス・カンパニー

作:ヤスミナ・レザ、演出:マギー、新国立劇場小劇場。
 大竹しのぶ、段田安則、秋山菜津子、高橋克実と名実ともの実力派俳優4人が演じぬく笑いが絶えない舞台だった。舞台はミシェル・ウリエ(段田)・ヴェロニカ・ウリエ(大竹)夫婦のウリエ家の居間。そこへアラン・レイユ(高橋)・アネット・レイユ(秋山)夫婦が訪れる。レイユ家の息子フェルデイナンが、ウリエ家の息子ブリュノと喧嘩して、怪我を負わせてしまったのだ。そのことでの話し合いの場だ。二組は地位も教養もあるブルジョアワジーだから、最初は冷静かつ友好的な大人の態度を保ちつつ、子供の喧嘩の後始末の折り合いをつけようとている。が、言葉のちょっとしたつまずきから小さな亀裂が走り始め、おまけにアランには仕事のことで携帯にたびたび電話がかかり、そのたびに席を外す。子供の喧嘩に親が口を出すのは・・などと最初はお互いに体裁をつくろっていたが、段々わが子可愛いやの本性が露呈してきて、罵倒合戦になり、さらには当人たちの夫婦間の不満の鬱積が爆発して収集がつかなくなって、アネットはゲロをはくし、ミシェルがたまりかねて酒をのみだすと、他の3人もわれもわれもと呑みだす始末。ヤスミナ・レザは極小の亀裂がどんどん傷口を広げてゆくサマを描くのが大変巧い。これが教養のある”大人”の振る舞いなのかと疑わせると思う暇もあらばこそ、あっという間に修羅場になった。そのプロセスを4人の実力派ががんがん演じて、秋山は堂々と吐くし、大竹はラム酒のボトルをラッパ飲みして暴れまわる。いままでの日本人の夫婦には考えられない風景だが、これからの日本人の夫婦にはこういう光景が現出するのかしら・・。4人の奮闘演技が、場内を沸かせた一夜だった。

by engekibukuro | 2011-01-07 11:55 | Comments(0)  

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