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5月19日(木)S「ロマン」(作・演出:高井浩子)

東京タンバリン、三鷹市芸術文化センター 星のホール。
 小説家志望のフリーターの話・。そこそこ才能はあるらしく、新人賞にはうかるのだが、それ以上にはなかなかすすまない。それにバイト先の人妻とか、文学畑のエラそうな女史とかにこの男、やたらにもてる・・。それがヨシアシで生活は破たん寸前・・、だが、小学校時代の友達とかが、結構部屋を提供してくれたり、たよろになる友達もyいて、なんとか暮らしていられる・・。まあ、軽いノリのライトノヴェルに対応する、ライトドラマとでもいうべきか・・。高井の作は、いまの若い男女のくらしっぷりや、ことばの振る舞いを活写して、それをスタイリッシュに演出していて、全面階段の美術もしゃれていて、この息がつまるような時代に一息つけるような芝居になっている・・。役者たちものびのび演じていて気持ちがいい。この小説家か志望の男を扇田拓也が演じる。なかなか作柄にマッチした、飄々としたモテモテ男になりきって、芝居の中心の役割を果たしていた。

▼メモ。朝、医科歯科大へ。胃カメラ検査。いままでで最長の時間で、苦しかったが、特に異常は認められず、疑われたササクレは消えていた・・、後は細胞を顕微鏡で調べるが、まあホットした・・。
・図書館で恒例の今月(六月号)の雑誌を読む。中央公論では佐藤優が、”菅は大嫌いだが、最大限強力しなければだめだ、菅という人間にではなく、内閣総理大臣という役職に対してだと強調している。それにし代れる強力な人材がいるのか。新潮の佐々木敦の連載「批評字空間」では原将人の昔の映画「初国知所之天皇」(ハツクニシラスメラノミコト)の復活上映をとりあげていた。なつかしい!上映時間7時間、ただの旅の映画だが、いきがつけないような面白さだったという記憶がある。四方田犬彦と石井睦美との往復書簡で四方田が、先住民を殺す西部劇のジョン・フォードや、その後を継いでいるクリント・イーストウッドをほめそやす”西部劇とロラン・バルトを同時に愛すると平然と口にする黄色人種のインテリを信用できない”と書いた。これははっきりした蓮実重彦批判だ。昔は四方田が蓮実の弟子筋かと思っていたが、これで氷解した。たしかにジョン・フォードにはそう感じるが、イーストウッドはそうか・・・。これで四方田の旗色が鮮明になった。見直す・・。
・en TAXI VOL32は「作家たちの東日本大震」が特集。35人に地震当日のアンケートを載せている。巻頭は仙台在住の佐伯一麦の体験記。さすが作家だと思わせる文章だ。坪内祐三「それからの日本を思う」は大国日本などと言う幻想は捨てて、もっと地味でまとまった小国をめざせ・・という議論、大賛成。ほかに福田和也「三一致と古典主義ー三島由紀夫と三谷幸喜ー」。三谷論と自分の演劇遍歴、面白い。スガ秀実の連載は「アラブ革命という世界史的地殻変動を前に、終末論的思考に依拠する無自覚な「反原発、「戦後」の反復は通用しない」の書き出し震災直後の天皇の玉音j放送・・。あとは加藤陽子×佐藤優×福田和也「危機下の宰相ー原敬と「おとな」の政治」が有益。今号で終わる角川春樹主宰の「角川句会手帖」が惜しい。

by engekibukuro | 2011-05-20 11:58 | Comments(0)  

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