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6月26日(日)S「太平洋序曲」KAAT神奈川芸術劇場

作詞/作曲:ステイーブン・ソンドハイム、台本:ジョン・ワイドマン、演出・振付:宮本亜門。
 この作品は、2000年に宮本の演出で新国立劇場で初演された後、東洋人演出家としては初めてNYブロードウエイでロングラン上演され、トニー賞の4部門でノミネートされた宮本亜門の代表作だ。その作品が自らが芸術監督である神奈川芸術劇場で、しかもこのミュージカルで描かれた土地である神奈川・横浜で上演されるという記念碑的公演だ。4隻の軍艦・黒船を率いたペリーが日本に開国を迫り、それに幕府からむりやり対応させられた浦賀奉行・香山弥左衛門とジョン万次郎、その悲喜劇が描かれ、アメリカと日本の現在にもせまるミュージカルだ。客席中央に設えたブリッジからアメリカ軍人と東インド艦隊司令官ペリーが威圧的に現れるとき、劇場の天井一杯に星条旗がするすると張り渡される。これほど日本とアメリカの関係を如実に悟らされる瞬間はなかった・・・。弥左衛門は八嶋智人、万次郎は山本太郎。舞台を進行させ仕切るのはナレーターの桂米團治。様々な分野の舞台人を集めた一座だ。宮本はこの舞台を、3・11を踏まえた、これからの日本を考える切実な契機として捕らえ、このミュージカルのメインテーマ「NEXT」に重ねている。その切迫感が迫る舞台だが、ただ、おおきな重いシーンと楽しい軽いチープなシーンとのバランスがぎくしゃくしているように見えたのがちょっと残念だった。
▼メモ。前回の「12人」の劇評に対し、山田勝仁さんが、アメリカの陪審員制度と日本の裁判員制度は異なるのに、それが混同されかねない、制作者側はそれについてチラシやパンフに言及するべきだったというコメンントがあった。たしかにそうなんだろう。気がつかなかったのは裁判員制度にわたしはもう年だから、当事者感覚がないせいかもしれない。日本では多数決、アメリカは全員一致、日本の制度では個人の個人の緊迫したドラマは生まれないという指摘は当たっているのだろう。「12人」は人が人を裁くというドラマの一般的段階に留まるにしても、いい舞台だったことはいえると思う。
・春の総決算「宝塚記念」はやっと極少的中・・・。

by engekibukuro | 2011-06-27 09:15 | Comments(0)  

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