人気ブログランキング | 話題のタグを見る

7月3日(日)M★座・高円寺S★★劇団唐ゼミ

★ヴァリエテイ狂想劇「夢(トポス)の国シンクウカン」-寺山修司の「ラジオのための叙事詩」コラージュ構成によるー(言語(ラジオシナリオ:寺山修司、構成・演出・音楽・美術:J・A・シイザー、共同演出・構成台本:高田恵篤。寺山人気はいまだ衰えず、こんなに客が開場待ちのロビーを埋め尽くす光景ははじめてだ。舞台には寺山ファンタジーへのお迎えの真空管やトランスで一杯・・。寺山のラジオドラマにした「青髭と七人の妻」をめぐるラジオ局のスタッフ・キャストのパフォーマンスを中心に、生バンド・AsianCrackBandの生演奏で寺山の芝居の全ての劇伴音楽を演奏し、万有引力中心の22人の役者が高田恵篤を先頭に舞台で寺山流儀で果断なパフォ-マンスを繰り広げた・・。華やかに盛り上がる舞台を締めるのは時より流す「寺山修司です・・・」という寺山の録音音声・・・。懐かしさ一杯の舞台だった。
★★「海の牙ー黒髪海峡篇」(作・監修:唐十郎、演出:中野敦之)、浅草花やしき裏特設テント劇場。状況劇場1973年初演の作品だ。1幕100分、2幕45分の変則構成の芝居だが、按摩が行列してでてきて、”あああの芝居だ”と思い出した。ヒロイン瀬良皿子を演じるのは、無論椎野裕美子だが、相手の呉一郎を演じたは土岐泰章。この二人はもう完璧に初演時の李礼仙と根津甚八を髣髴とさせた。かつら屋の店先で、二人は遭遇し、按摩たちとパンマの皿子の抗争にまきこまれた呉一郎・・、物語は複雑を究め、イメージの迷宮に引きずり込まされる・・・。生首が舞台中央に鎮座したり、朝鮮と大和の混血の名和四郎(熊野晋也)がなにかといえば強弓を引いいたりすると、まるで歌舞伎のようで、昔中村勘九郎(現・勘三郎)が”唐さんの芝居は今の歌舞伎だ”といっていたのを思い出した。生首がでてくるからじゃなくて、物語の混迷、イメージの極多彩がまるで南北の芝居みたいだと思わせるのだ・・。だが基本のイメージは昼下がりの坂だ・・。昼下がりの坂が、かくも壮大な朝鮮と日本の一体化の物語を呼び寄せるのか・・。芝居の語り方と語られる内容、中野はそういう複雑な要素をできうる限り明確に客の理解に至るよう腐心し、椎野以下の役者陣も物語にふさわしい人物を精一杯演じ、己を解放し、その解放の息吹が客に伝わってきた舞台だった。ちょうど楽日だったので、カーテンコールに殻が出てきて、隣の中野の手をとって”兄貴!”と弟子に呼びかけたのが感動的だった。中野が唐の旧作に彼ら世代の光を当て、今の時代に蘇らさせる営為は貴重なものだ。
▼メモ。橋元良明「メデイアと日本人」(岩波新書)読了。1590年、長旅から帰国した天正遣欧少年使節の重い土産はグーテンベルグ印刷機だった、そうだ。これで「キリシタン版」の書籍が印刷された。日本人の知的好奇心の強さを示す最初の事柄としてとあげる。そうじて日本人は新しいメデイアをうまく自分の生活を豊かにするためにうまく使っているようだ。まあ、新聞を読むが若い人が減っているようだが、わたしには最大の必需品だ。インターネットも、ブログができたり感謝している。

by engekibukuro | 2011-07-04 11:17 | Comments(0)  

<< 7月4日(月)S「竹田恵子オペ... 7月2日(土)S「未だ定まらず... >>