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7月22日(金)M  文学座アトリエ公演

「山羊・・・それって・・・もしかして・・・シルビア?」(作:エドワード・オルビー、翻訳:添田園子、演出:鵜山仁)
「動物園物語」や「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない」のオルビーは老大家になっても、旺盛な実験精神が健在であることを示した作品を文学座は紹介してくれた。
 主人公マーテイン(今村俊一)は建築家のノーベル賞ともいわれるブリッカー賞を最年少50歳で受賞した・・。これからも大きなプロジェクトを任されていて、妻のステイービー(宮沢亜古)との結婚生活も順調で、1人息子のビリー(采澤靖起)はゲイだが、両親は理解している・・・。そのマーテインがある日、田舎に家を建てる土地の下見にでかけ、小高い山の上から素晴らしい風景に魅入られるのだが、その視野に囲いの中にいた山羊が入り、この山羊と運命的に出会ってしまう。マーテインのこの山羊への愛がとどまるところをしらず深まって、この山羊をシルビアと命名して性愛のたかまりまでに至る・・・。そのことを友人のテレビプロヂューサーに我慢できずに喋ってしまう・・・。友人は大変な”病気”だと心配して、妻のステイビーに手紙でそのことを告げた・・・。芝居は、そのことをしったステイビーとマーテインの壮烈な話しあい・果し合いが主軸で、ビリーも巻き込んでしまって・・。病的な獣姦は主に性的な劣等者・不遇者が行うものだが、マーテインとステイビーは全く正常だし、二人とも今まで浮気したこともない・・。だが、ステイビーにとっては、シルビアの存在は理解を絶し、マ-テインも説得できない・・。この降って湧いたような珍事、人間以外の生き物への性愛への目覚めは、果たして愛の拡大なのか、官能の深化なのか・・。オルビーはえらそうにしている人間たちを、シルビアの絶大な魔力で笑殺せんと意図しているのか・・・。面白い芝居だが、なかなか俳優たちは大変だ・・。、マーテインのシルビアへの愛を客に納得させなければいけないし、鵜山が飽いているような抱腹絶倒の笑劇にすることも・・条理と不条理のあわいのユニークな舞台だった・・・。

by engekibukuro | 2011-07-23 12:52 | Comments(0)  

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