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8月2日(火)S「つきのしろ」(作:坂口瑞穂、演出:桐谷夏子)

美術:島次郎、劇団黒テント、イワト劇場。
 九州の小さな町のお話し・・・。いまは中年の女性4人は中学の同級生、仲間を仕切っているのは由美子(桐谷夏子)で、みな彼女のいいなりで、由美子が信奉しているという”将軍様”という誰もあったことがないカリスマ(携帯連絡のみ)からの命令は絶対だ。その命令だという由美子の指し図で佐織(しまさとこ)、延子(滝本直子)、佳枝(宮地成子)は夫や血族のだれかれを謀殺し、保険金を奪うなど、なにやら怪しい集団だ・・・。こういう突飛な話に一挙に客を導入するのが坂口の腕前で、それは話の内容が坂口の故郷の九州弁の台詞の応酬の面白さのためのもので、また、突如入ってくる標準語のピザ屋の女性の配達員(山下順子)の出現など意表の連鎖がスムースに運ぶのだ・・・。それをもともとの意図なのだろうが、シーンが一区切りつくたびにBIG☆bow生演奏の伴奏で俳優が1人ずつ中島みゆきの歌をフルコーラス歌いきるという音楽劇仕立てにして、動きも踊りっぽくして、話のおっかなさを包み込んでしまうという桐谷の演出が冴えていた・・。つまりは芝居のテイストの増幅のための中島の歌なのか、中島の歌の曲想の舞台化なのか、そこらへんの淡いが芝居全体を心地よい気分にしていて、女優たちはみな歌が上手だし、黒テントの古株桐谷の演出が黒テントの魅力的な音楽劇の伝統のテイストを新しいメンバーで活かした舞台で、黒テントのオールドファンは懐かしくも嬉しくなったのだ・・・。

by engekibukuro | 2011-08-03 08:26 | Comments(0)  

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