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10月11日(火)M「赤色エレジー」オフイスコットーネ

原作:林静一、脚本・構成・演出:天野天街、音楽:あがた森魚、プロヂューサー:綿貫凛、ザ・スズナリ。
 幸子が緒川たまき、一郎が寺十吾、ダミーのサチコが石丸だいご、イチロウがあがた森魚。バンドがピアノ、コントラバス、ヴァイオリン、ギター、バンドネオン。この名作を天野流に全面展開、天野テイストを惜しげもなく最期の一滴まで滴らせてスゲー異空間を立ち上げて満場を唸らせた・・。絵にかいたような可愛くてキレイな緒川と全く地味だが、独特の存在感が際立つ寺十の一郎が、天野のエンドレスの繰り返しの台詞を往復させ、唐突に舞台を切開する天野のオハコの映像が舞台を切断して、駆け出しの漫画家一郎と幸子のギッタンバッタンの愛の経緯のポイントを急所であがたがこれぞとばかりに歌い上げる・・・。美術、音楽、映像、演技の天野の魔術的統一は天野演劇の到達点を画したと思う・・・。これはこの天野以下のメンバーを結集させたた綿貫プロヅーサーの手柄だろう・・・。

▼MEMO。山本義隆「福島の原発事故をめぐってーいくつか学び考えたこと」(みすず書房)。元全共闘議長で第一級の物理学者の著書。落ち着いた解り易い文章で、原発が人間に許された限界を超えた科学技術であり、根本的に制御不可能な技術であることを西欧の科学・技術の歴史を記述しつつ書かれた本。「原子力発電は建設から稼動のすべてにわたって、肥大化した官僚機構と複数の巨大企業からなる”怪物”的大プロジェクトであり、そのなかで個々の技術者や科学者は主体性を喪失してゆかざるを得なくなる。プロジェクト自体が人間を飲み込んでゆく」。何万年も毒性を失わない大量の廃棄物などを残すことは子孫に対する犯罪である・・・。一刻も早く原発依存社会から脱却して、根本的に新しい社会のあり方を見出すべき時がすでに来ていたと考えるべきである・・・。ジュール・ヴェルヌのSF「動く人工島」を引用して、自然に対する人間の傲慢・無知を19世紀に警告したヴェルヌの先見性を紹介したり、含蓄の深い書物だった・・。

by engekibukuro | 2011-10-12 12:35 | Comments(0)  

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