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2月19日(月)M「女王の器」(作・演出:松井周)サンプル

川崎市アートセンターアルテリオ劇場。
 舞台全体が強大な白い布で覆われている。その布は天井からの綱によって要所を支えられている。その布のステージの裏に役者が待機しているスペースがあって、色んな道具やスタッフの動きの気配などが色彩ゆたかな明滅する光のなかで見えてくる・・。この芝居はその白布の舞台と裏のセノグラフイーが主体だ。巨大白布の上で演じられる芝居は、ストーリーはなく、人物達も部分関連で、芝居のメインストリームは分断されていて、古屋隆太の卑猥な刑事、古館寛治の建築家、羽場睦子の母、この3人のサンプルを支えている役者が舞台を締めているが、ほかにカフカ風の門番あdとかイケニエ女などが、不意に出没して、小規模な出来事が連鎖してゆく・・。この話の脈絡も不分明で、中心的なイメージへの追求でもない小規模な出来事の連鎖は、巨大白布の上のパフォーマンスの質感だけが勝負で、それは危うい賭けでもあるのだが、2時間ほどの時間を一定のクオリテイクtを持続させたのだ。松井は宝塚でバイトをしていたそうだが、芝居はステージングが基礎であることを確信しているようで、芝居のストーリーも人物も主題展開も、ある特定のステージングを思いつく後から作り出すようだ・・。それがかなりの成功度が高いのも、劇空間の第一義性の確信、劇場型思考が見についているからだろ。これはアヴァンギャルド・アートのようなものへの志向ではなくて、演劇の可能性への自然な松井独特の対し方から生み出されてくるのだ・・。
▼H・F・セイント「透明人間の告白」(河出文庫 上・下)読了。椎名誠と北上次郎がやっている「本の雑誌」の創刊30周年記念特集の”30年間のベスト30”という企画で、ベスト1に選ばれただけのことはある面白さだった。元来SFは苦手なのだが、これはジャンルなど関係ないとてつもない面白さだった。この現代のニューヨ-クで、放射能事故の突然変異で透明になってしまった株やの男音、透明ならなんでもできると思いきや、透明の体でこの社会を生きるのはたいへんな困難で、さらに透明人間を悪用せんとするFBIに追われて・・、また、透明男と恋におちた女とのベッドシーンの描写の独創性・・。
・20日は朝、ブリの照り焼きと海苔弁当をつくって医科歯科大へ。終日最後の抗がん剤投与の点滴で過ごす。髪の毛が抜けたぐらいで、副作用がなく、経過は順調のようだ。来月は放射線治療。

by engekibukuro | 2012-02-21 10:31 | Comments(0)  

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