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4月6日(土)★M「ファウスト」★★S「夜の森」

★作:ゲーテ、構成・演出:フジノサツコ、演出:森新太郎、モナカ興行、SPACE雑遊。
殆ど裸舞台で、衣裳もカジュアルな普段着のシンプルきわまるゲーテの大作「ファウスト」。どういう意図で「ファウスト」をとりあげたのか、なんの書付もないが、なにか大概は仰々しく大掛かりで上演される「ファウスト」をこういう形で上演されるのには意表をつかれた感じで・・。まずはファウストを女性が演じ、ネフイスト以下の脇の人物も役者は特定されず入れ替わり々の出番で、しかしファウストの長台詞をほとんどモノローグの形が大半で語る女優(配役表がないので特定できず)はすごい・・。この語りの中心性を柱に舞台を造形する森の演出の切れのよいスタイルがこの舞台の眼目だろう・・。ファウストもこういう形でもありなんだというフジノ・森の試みは新鮮だった・・。
★★作・演出:木野花、虚構の旅団、新宿モリエール。鴻上尚史が主宰する虚構の劇団の番外公演。作品は木野花が主宰していた「木野花ドラマスタジオ」の公演台本だったもの・・。舞台は精神病院の開放病棟、セラピーの一環として患者たちが「星の王子さま」を演じる、まあ演劇療法なのだろう・・。その稽古の最中に患者たちの生活が浮かび上がり、精神の異常と正常の差の微妙なきわどさ、医療者と患者の交流の難しさなどが浮き彫りにされてゆく・・。ただ、患者の奇矯な振る舞いや言動が、見ていて、役者が妙にノリすぎた演技をすることもあってか、それじたいは演劇的じゃないという印象をもたらされた。演劇は正常な人間の振る舞いで、病者の振る舞いは刺激的だが、そのことへのなにか特別の構想が感じられないと、演劇的な意味が形成されにくいと・・。患者達のそれぞれの個性や医療者と患者の交流がきちんと描かれているだけに、学ばされてもらった芝居だった。

by engekibukuro | 2012-04-07 09:35 | Comments(0)  

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