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6月3日(日)S「海・ひとで・星」(作・演出:唐十郎、唐組

雑司が谷・鬼子母神。
 受付で唐さんが怪我で舞台に出られないということを聞く・・・。
近年の唐組は、唐さんが出てくるのをいまかいまかと待ちわびるような雰囲気が客席にあり、出てきたときの掛け声、拍手が名物のようになっていたから、今晩の舞台が危惧されたが、どうして、どうして唐不在で気合が倍加してなかなかの見応えのある芝居になったのが嬉しかった・・。
 話の場所は、向島のいまやスカイツリーがまじかな鐘ヶ淵・・、そこのクロムメッキの工場にまつわる話に、近所のパーマ屋の家族や出自不明の人物群がからんで、佐々木小次郎まがいの女とか、新潟燕の洋食器工場の社長が出没し、唐組芝居の特有の華である小道具は、錫のしゃじ・スプーン、これが水中で錆びたので、クロムメッキするとか・・。全体の話の脈絡はよくわからんのだが、唐さんの頭に浮かんだイメージが自動的に芝居になったような、そのイメージを、久保井研、稲荷卓央、辻孝彦、藤井由紀、赤松由実らの主力以下、安保由夫の音楽によって、歌でつなぎ、あれよあれよという間断なく、意外、意外のシーンの連鎖をリズムよく運んで、客をケムにまいて終わってしまった。
この芝居には、唐さんが新宿梁山泊に書いた「風のほこり」にでてくる、浅草の軽演劇の芝居を書いていた唐さんのお母さんの記憶からか、浅草の軽演劇のノリの知的な残響が感じられるのだった・・。いずれにしても唐さんが舞台に芝居は、状況劇場、唐組をとおして初めてだった・・。それが、こんなに面白い舞台になったのに、唐組メンバーに拍手だ!
▲この芝居は流山児さんと並んで観た・・・。

by engekibukuro | 2012-06-04 06:46 | Comments(0)  

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