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6月27日(水)S「夕陽ケ丘まぼろし営業所」南河内万歳一座

作・演出:内藤裕敬、ザ・スズナリバ。
 創立30周年記念作品だ・・。もう30年、感慨深いね・・、南河内はこの劇団はタイニイ・アリスの西村・丹羽夫婦が東京で、はじめて紹介した・・。伊勢丹前の元のビルの上の階のタイニイ・アリスで・・・。狭い舞台にほとんどひしめくように役者がでて、しかも道具もきちんといろいろ使って・・、この狭い舞台、あるいは設定された四畳半とか、内藤は狭い場所でその狭さを逆手にとって、かえって活き活きと人物を息ずかせる名人だ・・その集団の中でのヒロインやヒーローの孤独と悲喜劇を沢山みせてくれたのだ・・。80年代若手小劇団のなかでも、きわだった魅力は、内藤独自の存在論と清冽なリリシズム、主人公らが何処に行き、何故ここにいるのかが、小難しい理屈ではなく、芝居の中にしっかり溶け込んだ問いとして芝居の要になり、その逡巡の果てのリリシズムが内藤の世界で・・。今回の芝居も、大勢の客がひしめく旅行代理店の店先でのツアーの行く先のトラブルが、高校演劇の現状批判の演劇論的展開になり、せまりくる夕陽ケ丘への日没はやがて夜をよび、ツアーの行く先は、そして我々はいったいどこにゆくのかという不安が、形而上学的気配を帯びて今の時代に接触させる・・。
 内藤が30年周年の挨拶にきちんと正装して出てきたが、はじめて東京の舞台に彼現れたときは、それこそ水もしたたるような瑞々しい美青年で、思わず感嘆したものだが、いまや少し太り気味の、ステキなオジサンになって・・。今回でていた古参メンバーは、荒谷清水、河野洋一郎、鴨鈴女、それぞれの重いでの舞台は荒谷の鉄壁にも頭から突っ込んでゆくような突貫演技、河野の日活の小林旭の渡り鳥シリーズを模した舞台でのなんとも味のある演技、いまでもそうだが、一時はもっと夢中になったファンである、唐組にも客演した荒谷夫人の鴨鈴女・・・。懐かしい初日の一晩だった。それかあらぬか、客には大谷亮介、木野花、伊東由美子、唐雲の久保井妍、稲荷卓央、唐ゼミの中野敦之ら芝居関係のひとたちが大勢きていて賑やかだった・・。、

by engekibukuro | 2012-06-28 10:59 | Comments(0)  

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