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9月10日(月)S「大麦入りのチキンスープ」

作:アーノルド・ウエスカー、訳:木村光一、演出:入江洋佑、東京演劇アンサンブル、ブレヒトの芝居小屋。
 この芝居は1964年の長岡輝子演出の文学座公演で観た。ウエスカーの分身、ロニイ・カーンを若き江守徹が演じた。20世紀は、資本主義社会の圧制に対抗する社会主義・共産主義を信じることが生きるために不可欠だった”意識した層”が西欧、日本に広範に存在した。その彼ら、彼女らの精神的な祖国は社会主義国家ソビエットだった。ソ連が実はスターリンの支配する暗黒社会で、世界中の社会主義者を操縦していることは知らず、あるいは見てみぬふりをしても、信ぜざるをえなかった。これは第二次大戦後のフルシチョフのスターリン批判以後も、そのフルシチョフもハンガリーを不法に弾圧、占有した。それさえも強引に度外視した。この芝居の登場人物たち、イギリスの労働者の住むイーストエンドのユダヤ人労働者の一家の主婦、サラ・カーンはそういう典型的な社会主義者だ。そういう母に育てられた息子カ-ンのイデオロギーと現実の矛盾を生きる苦悩のありさまが、この劇の主調音だ・・。いま、ソ連邦崩壊後、社会主義が根絶したような時代に、この芝居を上演することは、かなりタイヘンで、その時代のリアリテイ、生活のマチエールを伝えることは、時代の加勢がない現在、なかなか困難だなと思わざるをえなかったが、考えさせられるよい機会でもあった。

▲日本に帰化したドナルド・キーンさんの業績を追ったテレビで、キーンさんが正岡子規は近代人だが、石川啄木は現代人だと語っているのに一寸驚いた、そうかなんだか納得できる、それと啄木のローマ字日記のアルファベットの小文字の筆記体の見事さに魅入られた・・。
・作家の高橋源一郎は、毎週土日にサンケイスポーツに競馬の予想を長年続けている。先週のそのコラムに、幕末の歌人、橘曙覧の歌「たのしみは まれに魚煮て 児等皆が うましうましといひて 食ふ時」をもじって「たのしみは 馬券収支の たまの黒字 ウインファイブは 当たらなくても」
という歌を・・のせた・・。

by engekibukuro | 2012-09-11 08:13 | Comments(0)  

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