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1月21日(月)S「リバーサル」SPACE早稲田

・文化庁委託事業「平成24年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」新進演劇人育成公演{劇作家部門}
作:大塩哲史、演出:小林七緒、プロデューサー:流山児祥。
大塩は流山児が飽きているように、”大塩君は現代社会を徹底して弱者の視点で描く社会派”で、早大劇団のユニット劇団「北京蝶々」時代のSFスタイルの作品は、非常にユニークで見応えがあった。演出の小林は流山児★事務所の気鋭の女流演出家で着々と実績を挙げている。この二人の組み合わせだから期待して行ったが、どうもこれはピンとこない芝居で、なんだろうね・・。大企業の社長の娘を誘拐して、身代金を奪うと目論んだ誘拐団が、この娘に篭絡されて壊滅するという話だが、まったくリアルさを感じないし、ソレがなにかのパロデイにみたててか、ラストが歌って踊る狂騒シーンで終わらせる演出もなんだかねえ・・。喜んで観ていたお客さんもいたから、こちらの了見が狭いのかな・・。そんなにしょちゅう出来のいい舞台が創れるわけではないのだから、長い目で期待してゆこぅ・・。
▲エウリピデス作「トロイアの女たち」の山形さんの新訳で読んだ(論創社)。この訳は、文学坐アトリエ公演、今度の日本語・アラブ語・ヘブライ語で上演された、蜷川幸雄演出の舞台で使われた翻訳だ。舞台も面白かったが、この訳はとても新鮮で素晴らしかった。山形さんの解説で、”「トロイアの女たち」は駄作か”という項目がある。古代から沢山の議論があって、この劇にはストーリー性がないとかの批判らしいが、この劇の極限状況をこんなに簡潔に鋭く浮かび上がらせる手法はすごいと思うし、王妃ヘカデのパーソナリテイの偉大さと、トロイア滅亡の元凶絶世の美女ヘレナの魔性による”女性”とうものの永遠のミステリアスを男にとってもかもしれないが、度し難く感じさせる劇は稀だ。これも現現在読んでもなんの隔たりもなく、ギリシャ劇に親しめる山形さんの新訳のおかげだ・・。、

by engekibukuro | 2013-01-22 11:09 | Comments(0)  

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