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2月14日(木)S「異邦人」カンパニーデラシネ

原作:アルベール・カミュ、演出:小野寺修二、テキスト協力:小里清、世田谷パブリックシアター。

 ”今日、ママンが死んだ”が冒頭のフレーズの昔は必読だった、実存主義文学の傑作の傑作の舞台化、セリフを伴うマイム、片桐はいりが、-私・養老院院長、弁護士、ママン・司祭ーと何役も演じて、舞台が独特のアクセントに包まれた舞台になった。主人公ムルソーは森川弘和が演じていて、片桐の”私”と同一人物を小野寺は微妙に交差させて、舞台のテイストを輻輳させる・・。物語の場所はアルジェリアのアルジェ。ムルソーは母の養老院からの死の知らせを受ける。郊外の養老院には行くが、遺体はみない、門番とタバコを吸う・・、だが、”ママンを愛していた”、アルジェの戻り、女友達と喜劇映画(フェルナンデル)をみる、友達と海岸に行き、喧嘩にまきこまれて友達のピストルで人を殺してしまう、1発で殺し、さらに5発撃つ・・。裁判で、ムルソーの母の死への不謹慎で冷たい振る舞い、さらにその日に喜劇映画を女友達とみる不謹慎、そのことに弁護士は法廷で、弁解、反省しろといいうが、しない。なぜ、余計に5発撃ったのかという執拗な問いに、”そのとき太陽がまぶしかったから”と、ムルソーは死刑に、司祭は最後は神を信じろと説教するが、ムルソーは神の存在を認めない。ムルソーは辞直な働き者だった、母を愛した、死刑の判決も受容する。それらにかかわる一切の余計なツケタリを拒否する。あるがままの実存を単に生きただけだ。最後の”私は幸せだった”という言葉はすんなり受け入れられた・・。小野寺のマイムとセリフの絶妙の混合、道具をさまざまにへ変化させるスピーデイな展開、黄昏のアルジェの物売りなどの喧騒のざわめき、完成形のアート作品ではない、模索の途上感が新鮮で、それが多分”実存主義”を蘇らせたと思った。

by engekibukuro | 2013-02-15 10:02 | Comments(0)  

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