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3月16日(土)M「来訪者」(作・演出:中津留章仁)

トラッシュマスターズ、座・高円寺。
 いつもの前編、後編に別れるスタイル、前編は「売国奴」というサブタイトルサのもとに展開される。開幕、トラッシュマスターズは小劇場での公演が多いが、今回は中劇場の座・高円寺の舞台を目一杯飾っての北京の日本大使館の内部、これこそ中津留の芝居のスケールとのマッチする舞台だろうと直感する・・。のっけからの冒頭の大使の台詞が”尖閣諸島の問題は”云々と韓国のインテリジェンスとの会合で切り出されて・、これは大上段の際物かと身構えると、日本と中国の戦争の前夜の出来事が描かれてゆき、緊迫感が体に迫ってきて、実に真摯な気配が舞台に醸成されてくる、際物では全くない・・。韓国人や中国人のインテリジェンス関係、スパイや二重スパイへの疑義など、錯綜する諜報活動が混迷を深めてゆき、ついには大使夫人が中国当局に人質にとられ、それとの取引に日本成否は応ぜず、大使は自殺する・・、大使館にも銃弾が撃ちこまれれて・・ここまで前編。大使館の職員がこんなに少ないのかとか、中国人の秘書などがいてセキュリテイが甘すぎるとか、大使館の家政婦が大使と対等にタメグチぽく話をするのが違和感があるとかの、こうるさいチェックは、現在の日本・中国の緊迫した関係が否応もなく、この芝居のリアリテイを保証してしまうので、気にならない。そして、長いいつものその後の両国の戦争や国際関係などの説明の映像による記述があって、後編は中国と日本の戦争で双方死者がでて和平協定が結ばれて・・その何年後かの尖閣諸島、島には中国人と日本人が住んでいて、中津留芝居のパターンの前編での人物が職を変えて出てくる。中国と日本は国交は断絶している。前編・後編あわせて休憩なしの3時間の芝居だから、エピソード満載で書ききれないが、この島での出来事の中心は、中国人と日本人の和解する要素がまったくないいがみ合いの風景と、元大使館員だった夫婦の妻が、中国人のカメラマンを愛してしまい、夫婦が破局を迎え、最後には夫が妻とカメラマンを射殺してしまう、まら、戦争の再発がキッカケが・・と。この芝居で尖閣諸島の帰属の問題が分かりや説明されていること、にもかかわらず人種・歴史問題はますます深刻な対立になり、登場人物が叫ぶ”人間ってなんなのだという言葉が、重くのしかかってくるのだ、たまたま日本に生まれ、中国に生まれただけなのに・・。前編の村人が、後編に政府要人になるようないままでの芝居と違って、今回の人物の変移はすんなりと受け入れられた。やっと中津留の芝居のスタイルに慣れたのだった。結局、領土問題とはなにか、さらには日本人が中国人とどう向き合ってゆかというテーマがずしんと響き、だから元大使館の家政婦だった中国人と大使館員だった男女が結婚を決意するラストシーンは千金の価値がある。秀作だ!中津留はエンテターテイメントとシリアスを渾然一体に劇を創れる、いままで日本にいなかったタイプのスケールの大きい劇作家だということをこの作品で示したのだ
▲高円寺の駅で唐組の久保井研さんと稲荷卓央さんにあった、唐さんは元気になったが口がまだ不自由だと・・。
▲おもろ。カップル、中川君、中川君は中国人との職場の経験から”中国人は大嫌いだと・・。アアあ・・。

by engekibukuro | 2013-03-17 11:47 | Comments(0)  

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