人気ブログランキング | 話題のタグを見る

6月5日(水)M「つく、きえる」新国立劇場

作:ローラント・シンメルプフェニヒ、翻訳:大塚直、演出:宮田慶子。
 新国立劇場が書き下ろしを依頼する「with-つながる演劇」の韓国、ウエールズと続いて、しめくくり3作目が、このドイツのシンメルプフェニヒの作品だ。元々この企画は、3.11以前から動いていたが、3・11で衝撃を受けたシンメルプフェニヒは、その衝撃をモチーフにして書き上げた。それは、「コメデイをやろう、恐怖には笑いをもって立ち向かおう」というものだ。ものがたりは、
 ”小さな町の小さな港の小さなホテル、そこでは毎週月曜日、3組の夫婦の不思議な密会が繰り広げられている。A氏とZ夫人。Y氏とA夫人。Z氏とY夫人。一人の若者がそのホテルを運営している。彼は丘の上に女の子こ哀しい恋をしている。彼女は時計台で仕事をしていて、決して港には降りて来ないのだ。2人は携帯電話のメールで繫がれている。
 ある月曜日のこと、ホテルではいつものように密会を重ねる3組のカップルがいる。あかりが消えて、また点いて、そして彼らに不思議な変化があらわれはじめる・・。(パンフより)
 ホテルの三つに区切られた部屋、ホテルの上に自転車と女のこ子、セリフにイワキというコトバが聞こえてくるが、とてもスタイリシュに仕立てられた芝居だ。この舞台を観ていると、日本とドイツの演劇で現実を捉える仕方の相違がまざまざと感じられて刺激的なものだった。この乾いたコメデには、来日して被災地、フクシマを訪ねた作者が、ドイツ演劇の固有の基盤から表現され、ドイツ流を貫いて、3・11を蒙った日本への演劇としての支援の気持ちを伝え、それは確かに感じられたのだ。

by engekibukuro | 2013-06-06 09:08 | Comments(0)  

<< 6月6日(木)S「Chouf ... 6月4日(火)M「帰還」(作・... >>