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6月22日(土)M「不条理・四谷怪談」兵庫県立ピッコロ劇団

作:別役実、演出:佐野剛、座・高円寺。
 ”鶴屋南北は70歳で四谷怪談を書いた。私は数で勝負するので、鶴屋南北の137本を抜くまでは頑張りたい”とはいま75歳の別役さんの談・・、「四谷怪談」の裏側には、同時進行で「忠臣蔵」の話があります。「四谷怪談」は伊右衛門の「悪行」の話で、「忠臣蔵」は現在にも残る「良い行いの話。それらに対する社会おの受け止め方に疑問をもってみました。赤穂浪士は、本当に全員討ち入りに参加したかったのだろうか?そうしなければいけない空気があって、やむをえず参加した人間がいたのではないか?そう考えたほうが人間的です。「討ち入り」イコール「イベント主義の理想」というのが本当は場当たり的で「狂気」なのではないか?個人の「正気」が社会的に「狂気」と見えた時に、そのズレが喜劇性を産むのではないか”との続いた談・・。
・あらかたの人物、ストーリーは通常の「四谷怪談」と変わらないが、その展開のスピードと孫高宏の演じた伊右衛門の徹底的などんな事態、状態に対しても無感動でドライに処するパーソナリテイの独特のありよう・・、これまでの悪、悪人、非道、とか殺人、さらにお岩のお化けとかの妖気・恐怖、そういう一切の異常事態に対する登場人物たちの対応の平然さ、”怪談”の怖さとかとは違うものの不気味さが伝わってくろのだ・・、別役実は犯罪研究家としても著名だが、その別役が、近頃の犯罪は人間的興味がもてない、なにか違ったものになってしまったと書いていたのを思い出したが、その現在の目と気分で「四谷怪談」を見直した作品として興味深い舞台だった。江戸の大衆の討ち入りイベントへの期待感の圧力に屈したかのような「忠臣蔵」の討ち入りを伝える太鼓の音が、たしかに”場当たり的な「狂気」として響いて聞こえてきた気がした・・。

by engekibukuro | 2013-06-23 10:25 | Comments(0)  

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