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2月9日(日)

▲「悲劇喜劇」3月号。特集・2013年演劇界の収穫。この号にわたしも書いている。”2013年下半期は豊作だった・・・”というタイトルで、藤田貴大ー作・演出「cocoon」、作:クリストファー・マーロウ、演出:森新太郎「エドワード二世」、作:ベルナール=マリ・コルテス、演出:佐藤信「森の直前の夜」、作:長田育恵、演出:扇田拓也、作:E・イエリネク、演出:小沢剛・宮沢章夫、の5本を取り上げた。
・この号で矢野誠一「小幡欣治の歳月」の連載が終わった。これは素晴らしい伝記、交遊録だった。8歳上の小幡との長い交友のエピソードの数々、劇場で、酒場で、あるいは旅行、競馬などの話も楽しいが、この新劇から出発して、「三婆」などの数々の商業演劇の名作を書き、晩年は劇団民藝に書き、新劇に回帰した小幡の仕事をそれにまつわるエピソードをまじえながらきちんと評価し、演劇史に位置ずけた傑作だと思う。それにしても独特のメモからおもいだす交友のデテイールの面白さはたまらない・・・。
ほかには野田学さんの、松井周の「未来を忘れる」と「永い遠足」、それと長塚圭史が三好十郎の「冒した者」を取り上げた「人間と動物」が心に残った。「松井と長塚の舞台作品に私がみてとったのは、3・11以後の日本において、経済状況の反転とオリンピック召致に浮かれつつある日本の「放心」だと言えばよいだろうか。「放心」とは、あえて存在論風にいえば、「世界」を持つことができないために存在了解が得られないという意味でもはや動物的な人間が有する態度のことである」・・、これだけではなんのことかわからないだろうが、ここでいう3・・11以後日本人が放心状態にいりという指摘はうなずける・・、この放心状態にヒトラー台頭前のドイツみたいにつけこまれたらヤバイと感じるのは、思い過ごしかな・・・。

by engekibukuro | 2014-02-10 08:07 | Comments(0)  

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