6月5日(木)
▲読売文学賞および今年の飯田蛇笏賞を受賞した高野ムツオ(66)の句集「萬(まん)の翅(はね)」(KADOKAW)を読む。宮城県在住の俳人で東日本大震災を体験し、震災直後から震災詠を発表、代表作「四肢」の句をはじめ、2002年から11年間の句を収めた満を持した句集刊行だった。だが、「震災に特化せず、日常の流れの中で非日常の事態を捉えたかった」と高野は語っている。
・桃を喰う唇・歯・舌・喉(のんど)もて
・癌もわが細胞であり冬の星
三月十一日
・四肢へ地震(ない)ただ轟轟(ごうごう)と轟轟と
・地震の闇百足(むかで)となりて歩むべし
・芽吹くとは血を噴くことか陸奥は
・月光の分厚きを着て熊眠る
・春光の泥ことごとく死者の声
・車にも仰臥という死春の月
・桃を喰う唇・歯・舌・喉(のんど)もて
・癌もわが細胞であり冬の星
三月十一日
・四肢へ地震(ない)ただ轟轟(ごうごう)と轟轟と
・地震の闇百足(むかで)となりて歩むべし
・芽吹くとは血を噴くことか陸奥は
・月光の分厚きを着て熊眠る
・春光の泥ことごとく死者の声
・車にも仰臥という死春の月
by engekibukuro | 2014-06-06 07:50 | Comments(0)