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9月2日(火)M「じゃのめ」西瓜糖、下北沢 駅前劇場

作:秋之桜子、演出:松本祐子

 ちょっとフシギな芝居だ・・。作者はー谷崎潤一郎の「痴人の愛」が関東大震災半年後に新聞連載されたものだと知り、驚いたと記している。大正末期から関東大震災を経て昭和に入った芝居・・。階上だと思しき下手の部屋が高級娼婦の部屋で、ほとんどくっついているが別の建物の上手の部屋がサロン風の部屋で数人の男女が・もんじゅ・という名の雑誌の編集会議をしている。下手の部屋の房事の喘ぎ声は、上手の部屋につつぬけで、大正リベラリズムの時代の新思想に基づく雑誌への夢と、自堕落な性の解放とが一緒になったアナーキーな雰囲気が舞台にみなぎって・・。軽井沢でテニスをしていたという過去をもっている、出自不明で今の毎週土曜日に通ってくるサド趣味の旦那が、じつは夫で、一種のセックスゲームにふけっている(?)というような変わった趣向がいろいろあり、この”娼婦”と、特高につかまり、1年独房で過ごした新思想の文筆家などのグループとのさまざまな交渉が芝居の中身で、この変わった趣向をまともな線で客に納得させる役が矢野暢子が演じる婆やで、この矢野の演技で舞台は落ち着くようだ・・。娼婦の部屋のベッドは、土台が棺桶で、ラストに、雑誌グループの女性ライターが雑誌の特ダネのために、この棺桶に入ってベッドでの房事の最中に親友になった娼婦が大臣のスキャンダルを旦那からききだすというシーンには驚いた・・。こういう劇的想像力の連鎖は、女性特有のものなのか、名状しがたいフシギな印象を与えてもらった舞台だった・・。

by engekibukuro | 2014-09-03 08:03 | Comments(0)  

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