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10月17日M「ジュリアス・シーザー」演出:蜷川幸雄

演出補:井上尊昌、作:W・シェイクスピア、翻訳:松岡和子、彩の国さいたま芸術劇場

 蜷川幸雄藝術監督のもと、この劇場においての、シェイクスピア戯曲37本の完全上演をまざす「彩の国シェシェイクスピア・シリーズ(SSS)、1998年の「ロミオとジュリエット」に始まり、今回の「ジュリアス・シ-ザー」で第29弾を数え、残すところは悲劇「アテネのダイモン」、喜劇「ヴェローノの二紳士」、「終わりよければすべてよし」、「尺には尺を」、歴史劇「リチャード二世」、「ジョン王」、「ヘンリー五世」、「ヘンリー八世」の8作品になった。ふりかえれば、シェエイクスピアの芝居をいろいろに楽しめた、蜷川単独演出の快挙だ・・。
 さて今回の観客をローマ市民に見立てた「ジュリアス・シーザー」の見どころは、アンーカス・ブルータスの安部寛、マーク・アントニーの藤原竜也、ジュリアス・シーザーの横田栄司、カイアス・キャシアスの吉田鋼太郎の4人の役者の見比べだ・・。ベテラン筆頭の吉田のキャシアスが舞台を盛り立て、実質主役のブルータスを立派に演じた阿部はむろんいいのだが、今回のタイトルルロールのシ-ザーを演じた横田が、前半で暗殺されてしまうのだが素晴らしかった。横田は文学座在籍で、文学座は今回もこのシリーズの常連tぽもいえる、原康義、塾一久、たかお鷹というヴェテラン、それに今回は山本道子、高瀬哲朗、星智也も加わっての文学座勢だが、横田は蜷川が育ててきた役者で、今回その資質が全面的に開花したと思わせた強烈な印象を残す演技だった。それと若い藤原のアントニーのシーザーへの弔辞、シーザー暗殺の者への弾劾演説を確かに演じぬいたのに感心した。ローマ共和制下の善悪、理非曲直を越えてしまう血で血を洗うあくまで格好だけはつける権力闘争、それにふりまわされる民衆の群像、この芝居は現在にも通底するリアリテイを強く感じさせた舞台だった。

by engekibukuro | 2014-10-18 09:55 | Comments(0)  

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