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11月4日(火)








★吉村萬壱「ホラード病」(文芸春秋)。大震災後復興した地方の町で暮らす母子家庭の小学生の女の子の、母や、学校の先生、友達への底知れぬ違和感を描いたものだが、これが世界をつなぎ留めることができない病気だと・・・。どうもピンときにくい小説で・・。
★すばる文学賞をうけた小説「島と人類」(すばる11月号)は、大学教授の人類学者とその妻の霊長類学者の夫婦が、裸体生活と性の解放を唱え、過激に実践する。社会とぶつかる。しかも、妻は類人猿と尖閣諸島とおぼしき無人島で暮らしている。夫が仲間と妻のいる無人島へ、裸体をさらして船を操舵していると、何百という中国籍とおぼしき船団が追ってくるが、なんと、この船団の乗船者全員が裸になっているのだ。裸体革命を目指す、ヌーデイストの活躍を活写して、いまの社会への溜りに溜まった鬱屈が一挙にはじける、なんとも破壊的かつ笑うしかない壮絶な小説だ。

by engekibukuro | 2014-11-05 07:19 | Comments(0)  

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