11月9日(日)
★74歳の片岡義男の小説が元気だ。文学界11月号「最後の金曜日」、中年の小説家と結婚したての若いライターとが京都で会っていおしゃべりするだけの小説。まず、昔、美空ひばりと母親の常連だったスマート珈琲店で、ひばりの定席で珈琲と名物のホットケーキと卵サンド、2杯目の珈琲はイノダコーヒ店へ、そこから南座横のビルの5階のレストラン菊水へ。そこで生ビールと、チキンバスケットと冷奴、キムチなどで呑む・・。話の内容はライターの結婚相手のアレコミ・・。これだけの話でも屈託がなく明るくて面白い。片岡は朝日の70枚の短期連載で「豆大福と珈琲」を書いた。誰かから豆大福をもらって、それがおいしかたtから書いたそうだ。それも面白かった、そして評判がよくて今度豆大福と珈琲だけで、700枚の長編を書くそうだ。
★新潮11月号の第二十二回 萩原朔太郎賞受賞作 三角みづ紀「隣人のいない部屋」より
撰者:高橋源一郎ほか
・浅い眠り・
鳥はさむいとふくらむから/この町の鳥は丸く丸く/夜よりも暗い色に/黄色のくちばしが/膨張して郵便局の前を歩く/飛ばない鳥だっていたのだった
知らないことは おろかで幼く/うつくしい/知ることがおそろしいまま/知らない町で/さむいとふくらむから/わたしも膨張して/おきたら丸く丸くなる
幾日も雪は降りつづけるが/知らない
by engekibukuro | 2014-11-10 08:07 | Comments(0)