人気ブログランキング | 話題のタグを見る

11月13日(木)M「皆既食」シアターコクーン

作:クリストファー・ハンプトン、翻訳:小田島恒志、演出:蜷川幸雄
 有名な、アルチュール・ランボーとポール・ヴェルレーヌの底知れない愛憎の物語・・。ランボーが初舞台の岡田将生、ヴェルレーヌが生瀬勝久・・。ほとんど二人芝居だが、岡田の初舞台・・。この難役といっていいランボーを岡田が見事に演じ切ったのに驚く・・、抜擢した蜷川の眼力にも改めて凄いと思った。懸命に岡田をサポートした生瀬の芝居にも感服した。なにより、蜷川が開成高校の頃にランボーに夢中になった追憶の思いが舞台にみなぎっていたことを思う。
 ”若い頃からランボーに興味がありました。家には「酩酊船」というランボーの詩集があって、詩や評論、手紙など手に入るものはもちろん読んでいたし、彼の存在そのものに大きな影響を受けていた。狂気というmのを媒介にしながら、十代半ばにして「心に怪物を飼わなければならない」と思い決めていたアrンボーの心情に強く惹かれていたんです。
 孤独で観念的で鬱屈した高校生だったぼくは、他人とつがう人間でありたい、社会的なある体制に異議申し立てをしたい、そのために何かを見つけなければならないという焦燥にかられていた。自分がランボーだとは思わないけれど、ランボーのように生きたいと思っていました。”と蜷川は語る。アフリカでの若くして大怪我で死ぬランボー、パリの裏町で娼婦と暮らし、窮死したヴェルレーヌ。蜷川のランボーへの思いを岡田は舞台上で立派に体現してみせた・・。さらに終幕に口笛が聞こえてくる・・、その口笛の曲は”インターナショナル”なのだ、高校生のころの”社会的なある体制に異議申し立てをしたい”という思いも、この舞台は果たしているのだ・・・。

by engekibukuro | 2014-11-14 07:27 | Comments(0)  

<< 11月14日(金)M「透明な隣... 11月12日(水)「紅楼夢(一... >>