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12月31日(水)奥泉光「東京自叙伝」(集英社)



 正月にゆっくり読もうとしていたのだが、読みかけたら、やめられず423ペ-ジ読んでしまった。東京を擬人化、さらに擬下等動物化して、もしかして縄文時代から、いまの平成までの東京という場所、そこで起こった血なまぐさい事件の連鎖を描いた、といってもとても要約もできない、複雑怪奇な奥泉流の一種のSFフイクション・・・。
 第一章 柿崎幸緒(かきざきさちお) 第二章 榊春彦 第三章 曽根大吾 第四章 友成光宏 第五章 戸部もどり 第六章 郷原聖士(ほうはらきよし) これが幕末、大政奉還から現代までの東京の擬人名、むろん同一人物、・・・・つまり東京に生きている”私”はみな同じ”私”であってなんら区別がない・・。これはこわい・・。この人物たちは天皇は尊重しない、原発立地にかかわった曽根は、皇居を立地候補にあげたりしたし、とにかく波乱万丈の末に、東日本大地震をむかえ、さらに近未来にはまたまた原発事故、放射性物質が日本中に飛び散って、人間が死に絶え、生き残ったのは太古からの生き物の王者鼠だ。”東京湾に夕暮れが迫り、浜風が吹きよせるなか、瓦礫の蔭から赤く染まった空を見上げる一匹の鼠、たとえばソンナものがいたとしたら、それは私です。これがアrスト!私は鼠年だから、ことのほか身に染みたのだった!
 2014年の最終日にこんな小説を読んだのが、いいのか悪いのか・・。さあ、良いお年を!

by engekibukuro | 2015-01-01 08:15 | Comments(0)  

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