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2月11日(水)M「狂人なおもて往生をとぐ」

ー昔、僕達は愛したー
作:清水邦夫、ドラマターク:木内昌宏、演出:熊林弘高、東京芸術劇場シアターウエスト
 東京芸劇の現代演劇の潮流におけるかっての注目作、問題作を検証する試みである「Roots企画」の第2作だ。第一作はつかこうへい作、三浦大輔演出の「ストリッパー物語」だった。この作品は、清水が蜷川幸雄と組んで青俳や桜社など小劇場に書いていたののだが、この作品は初めて新劇の名門俳優座に1969年に書き下ろした作品だ。しかし、いまこの芝居を観ると、正直どういう芝居なのかよくわからない。福士誠治が演じる主人公の青年が狂気に陥っているらしい・・、そしてこの青年の家族5人が腫れ物にさわるように接していて、この家族が売春宿を営んでいるという仮定で、それに準ずるゲーム、”ごっこ”をやっているらしい・・。だが、この作品をオルビーの「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない」やジュネの「女中たち」などのゲーム仕立ての芝居に比する論もあるが、前記作品はゲームの内実は明確だが、この作品はなにをゲームに仕立てているのか不分明なのだ・・。これは主人公が関わっていたらしい当時の全共闘の時代的な特色を含み、そしてこの作品が評判になったのが、当時の俳優座のこの芝居の青年を演じた原田芳雄など若手造反グループの活動が話題になっていたこともあるらしい・・。しかし、いまとなっては、それらは理解の外だ・・。だが、この芝居が内容がよくわからなくても一見に価したのは、きちんと俳優が対応できる清水の作劇j術とセリフの魅力、さらになんといっても熊林の演出術だろう・・。熊林はシアタープロジェクト綬東京(TPT)育だちで、ルヴォーやアkッカーマンの薫陶を受けて演出家になった(このTPTの舞台が日本の現代劇を大きく変革した)。だから、芝居のテーマにやたらに拘泥する新劇などに”汚染”されていない、芝居の構成、劇の律動、俳優の魅力の
発露などの演劇の美学的側面を最重要視する演出家であり、その熊林の特質が最大限の純度で提示された
舞台だということ・・、だから、この舞台は熊林の特質といまその演出jが歓迎されていることを分かることが出来た有意義な舞台だったのだ・・・。
・毎朝5ページ読んでいた森鴎外「椋鳥通信」が終わったので、同じ岩波文庫の渡辺守章訳「マラルメ詩集」を毎朝一篇読むことにする。

by engekibukuro | 2015-02-12 07:46 | Comments(0)  

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