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8月30日(日)「芸術新潮」9月号


 ★蜷川幸雄生誕80周年記念特集
 ・蜷川幸雄の哲学・
巻頭の”蜷川実花が撮りおろす父の思考の場所”という写真が素晴らしい。蜷川の書斎の壁にかかる絵画や調度類に囲まれている蜷川、とがった各色鉛筆が林立する鉛筆立、各種サングラスとか芝居の小道具のなにかとか、雑多なものが散乱しつつ収まっている中での蜷川のポートレイト・・。その色彩と光と影の強度は蜷川の舞台を彷彿させる・・。
 故扇田昭彦氏ほか各氏の蜷川芝居の代表作の紹介があるが、巻頭は村上春樹「リカヴィトスからロンドンまで」。”僕が蜷川幸雄さん演出のお芝居を初めて観たのは、1980年の半ばのことだった。場所はギリシャのアテネ、有名なリカヴィトスの丘の上にある古い円形劇法だ。”そこで平幹二朗主演の「王女メデイア」を観た。そこで字幕などついていないのだが、ギリシャ人は物語を知っていることもあるだろうが、”芝居の終わったときの、人々の騒ぎは大したものだったと記憶している。拍手圧倒的だったし、会場は興奮に満ちていた”、そえrだから自作の「海辺のカフカ」の劇化ではすべて蜷川に任せた。そして屋内、海外でも圧倒的な好評を博した。”僕も二度ばかり劇場に運んだが、・・・・・舞台上のいろんな仕掛けも楽しくて、猫たちの細かい動きや、魚が空から降ってくるところや、ジョニー・ウオーカーやカーネル・サンダーズの言動も、何度見でてもわくわくさせられる。芝居でなくては体験できないものごとが、ここにはみっちり詰め込まれている。このあいだ東京で会ったカズオ・イシグロに会ったときも、「来る前にロンドンで見たけど、本当に素晴らしい。見応えのある舞台だったよ」と興奮気味に語ってくれた。”蜷川はカズオ・イシグロの「私を離さないでも劇化した。蜷川は現在の世界でトップクラスの日本人の二人の小説家の作品を舞台化しているのだ!
・巻末に今大活躍の画家山口晃と蜷川の対談がある。

by engekibukuro | 2015-08-31 11:04 | Comments(0)  

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