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10月15日「悲劇喜劇」11月号特集・別役実

 この特集、充実していた。
宮沢章夫、鴻上直尚志以下21人の演劇人がそれぞれの立場から別役論を寄稿、なかでも圧巻は「別役さんに訊く」という岩松了と別役の対談、二人とも原稿は喫茶店で書き、気分転換にはパチンコをやる。そういう執筆の裏話から、不条理劇の変遷を語り、別役が当然だが、唐十郎のことを称揚しているのが、なにかいい感じで、結局、最後にはアメリカ演劇、とくにテネシー・ウイリアムズが最高だということになる。岩松が同業者だということが、対談の面白みへたかめて、戯曲の執筆の現場を魅力的に案内することになっていた。並列して別役夫人の女優楠侑子と娘のイラストレーターのべつやくれいの対談が、別役の私生活を語っていろいろ面白い・・。別役論では木村光則「別役実の軌跡とその作品世界」が別役の深部へ届いていて読ませる。Pカンパニーの林次樹がこの雑誌の9月号の渡辺保と江原吉博の対談で、自分が演出した別役作の「ジョバンニの父への旅」が酷評されたことへの反論が異色を放っていた。
 ほかに徳永京子のマームとジプシーの中国公演へ帯同した報告「マーム北京公演と中国演劇の胎動」が印象に残った。あと「追悼・加藤武」に、黒柳徹子、矢野誠一、大西信行、西川信廣が執筆、もうなんともいえない・・・。今回からの演劇時評は青井陽治と中井美穂、中井がこんなに小劇場を含めて芝居を見ている人だとは、それに輪をかけて青井の小劇場から、大劇場のミュージカル、歌舞伎までの幅の広さに驚嘆した。

by engekibukuro | 2015-10-16 07:45 | Comments(0)  

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