人気ブログランキング | 話題のタグを見る

11月6日(金)「温泉妖精」黒名ひろみ(すばる11月号)

すばる新人賞を受章した作品。子供のころ、両親が姉と二人をタレントにしたいと、地方から高速道路を深夜飛ばして、地方から東京へ毎週一家で通う・・。しかし、その目論見は成功せず、そのご母は癌で死に、一家離散して、今は介護施設で働いている岡本絵里。あるとき、怪しげな温泉ブログを読み、東北の温泉へ。髪を金髪に染めて、靑いいコンタクトレンズを嵌めて、外人のふりをしてその温泉の旅館に投宿する。ところが、その温泉、インチキで温泉は水道水で・・。その温泉で親の世代の、奇妙なニートあがりの事故破滅型男に会う・・・。この独身男は、親の遺産で使い切れないような金をもっているのだが、未成熟なロクデシ、それにしても主人公絵里も、職を転々、恋人もなく、言動や振る舞いはまったく希望も夢もない・・・、そういう女性として鮮やかに描けているからなおさら、一昔前のプロレタリア文学の蘇りのよう、それも革命の夢のない・・。

・週刊金曜日の11月の「櫂未知子の金曜俳句」の兼題は「村祭」、今回は月光ほろり(堀切克洋)の句が3句、谷岡健彦の句が一句取られている。
 谷岡:”段取りを二三省いて村祭”
 月光:”初恋の人は子を連れて村祭”、”村祭いまだ博士という渾名”、そして特選”マルクス全集売られ村祭り”。いくらもう流行らないと言っても村祭の売店でマルクス全集など売っているのかしtら、フシギだ・・。撰者は”哀愁があります”と書いているが、なるほど”哀愁”なら、これ以上の哀愁はないだろうな・・。作る方も、選ぶ方もたいしたもの、感服した。ほんとにどこかで村祭りでマルクス全集が売られていたのだろうな・・。
 

by engekibukuro | 2015-11-07 09:55 | Comments(0)  

<< 11月7日(土)文学座 11月5日(木)M「Ne AN... >>