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7月14日(木)M PARCO劇場

「母と惑星について、および自転する女たちの記録」(作:蓬莱竜太、演出:栗山民也)

 蓬莱の女たちだけの芝居は、同じ栗山演出の新国立劇場での「まほろば」があった。そのとき、蓬莱が、女性のことをこんなに深く面白く描けているのに感心した、というより、蓬莱のテキストで女優がこんなに思い切って奔放に演技ができるのかと驚いた記憶がある。
 今回も母を亡くした三人姉妹が、母の骨をもって、イスタンブールに行き、いきあったりばったりの旅をする話だ・・・。その旅のあちこちで、姉妹の一人一人が生前の母とのエピソードを語るのだ。母を斎藤由貴、長女を田畑智子、次女を鈴木杏、三女を志田未来が演じる。今回も、女優たちは奔放に自分たちの生きざまを赤裸々に演じて、男にとっては、うすらうすらは感じてはいたが”女とはこんな生き物なのか”と改めて思わせる舞台だった。なにより、なんということもない、どこかで見知ったような話、恋愛、結婚、妊娠、夫や恋人たちにまつわる話や、なにより三人の姉妹を自分で経営する小さなバーの営業時間に片隅に座らせておいて、自分の”おもし”にした母の生き方、その母の男関係の悩ましさ・・・、小さいとき父を亡くした三人がそういう母だけがたよりだったのは致し方なくて・・。そういう一切が小さなエピソードの積み重ねで、それがおどろくほどの密度で描かれ、演じられたのだ・・・。この芝居でパルコ劇場は閉じられる。長い間数々の名作を生んだ、この劇場のサヨナラ公演として、とてもふさわしい見ごたえ十分の芝居だった。新装を待ちたい・・。

by engekibukuro | 2016-07-15 06:35 | Comments(0)  

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