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7月21日(木)S「贋・四谷怪談」椿組

原作:鶴屋南北、脚色:立松和平、構演出:西沢栄治、主題歌:友川カズキ、プロデューサー:外波山文明、新宿花園神社野外劇
 椿組の花園神社野外劇も今年で31年目になった。この永年の活動に対して、昨年「紀伊国屋演劇賞・特別賞」が授与された。ここ花園神社は、新宿区の地震の避難地でもあるので、そのめんでも安全なのだ。
 この作品は22年ぶりの再演で、西沢が新しく構成しなおした。民谷伊右衛門は山本享、お岩が松本紀保、演技陣はバラツキはあるが、それは外波山陣頭指揮のもと勢いで夏芝居らしく盛大に盛り上げた。山本の伊右衛門は、赤穂の浪人暮らしで青息吐息の浪人だが、あまり陰気な影をもたない、むしろ愛嬌がある役作りで面白い。特によかったのは松本のお岩、薬で顔を崩されても、お化けのようでなく、舞台できりりと引き締まっているのは、さすが歌舞伎の家の血統を感じさせた。ラスト、宿敵吉良に奉公しようとした伊右衛門は、赤穂の吉良攻めに加われず、舞い落ちる雪の中で孤立無援で捕吏と戦い力尽きて殺されるのだが、その倒れた伊右衛門に、霊界からお岩が現れ寄り添うのだ・・・。その松本のお岩の伊右衛門への含みの豊かさが、「贋・四谷怪談」を夫婦の愛の物語として感じさせるのだ。

by engekibukuro | 2016-07-22 09:40 | Comments(0)  

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