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11月2日(火)「テロ」

 作:フェルデイナント・フォン・シーラッハ(東京創元社)
 ミステリーだとばかり思って図書館に予約したのだが、なんと戯曲だった。それも大変な内容の戯曲でびっくりした。
 ”2013年7月26日、ドイツ上空で旅客機がハイジャックされた。テロリストがサッカ-スタジアムに旅客機を墜落させ、7万人の観客を殺害しようと目論んだのだ。しかし緊急発進した空軍少佐が独断で旅客機を撃墜する。乗客164人を殺して7万人を救った彼は英雄化?犯罪者か?結論は一般人が審議に参加する参審裁判所に委ねられた。検察官の論告、弁護人の最終弁論ののちに、有罪と無罪、
ふたとおりの判決が用意された衝撃の法廷劇。”そして、”どちらの判決を下すかは、読んだあなたの決断次第”。というのだが・・・。著者のシーラッハは、ナチ党全国青少年最高指導者、バルドウール・フォン・シーラッハしーの孫で、1994年から刑事事件の弁護士として活躍している。作家としては、デビュー作である「犯罪」(2009年)がクライスト賞を受賞、日本で2012年本屋大賞「翻訳小説部門」第一位を受賞した。
 著者初の戯曲でありテロを題材にしたこの戯曲は、刊行直後から大激論を巻き起こし、ドイツ語圏30か所で上演された。有罪か無罪か、あまりに刺激的な設問で、にわかに応答できるものではない。が、法廷劇としての迫力はものすごい・・。ぜひ舞台で観てみたい・・。

by engekibukuro | 2016-11-03 10:21 | Comments(0)  

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