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1月11日(水)M「フォトジェニック」鵺的

作・演出:高木登、SPACE梟門
 この芝居は、モデルを次々殺す、カメラマンとモデルの話で、いかにも鵺的な芝居だ。この特異な劇団は、しっかり固定ファンをもっている・・。主宰の高木の自らの演劇に対する構えをパンフに書いている。
”あんたの芝居には美人しか出てこないとよく言われる。あんたは面食いだととも言われる。じっさいそんなことはないのだが、芝居にかぎっていえば、自分の書くものはどこか陰惨で、それをそのまま差し出すのはエンターテイメントの流儀にかなわないからだと考える。ホラー映画で殺される女性はたいてい美人である。不様な花が散っても快楽にはならない。それはもうそういううもので、リアリズムの論理もフェミニステイックな思想もこの流儀の前では無力だ。エンターテイメントとは根幹で人間の欲望と直結している。
 悲惨、恐怖、闇、酸鼻、そうしたことを作品として美しく昇華するためには美しい身体が必要である。ここに四人の美しい女優がいる。つまりそれだけ本作を残酷な物語にできるということだ。自分は満足している。あとはあなたを満足させるだけだ。”
 この舞台が、悲惨、恐怖、闇、酸鼻、そうしたことを美しく昇華できているか、それは不十分だというより、その可能性自体を感じさせたことは確かである。

by engekibukuro | 2017-01-12 10:06 | Comments(0)  

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