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3月8日(水)S「舞台版:実録ー連合赤軍」

★浅間山荘への道程(みち)
 ・若松孝二生誕80年祭ファイナル SPACE雑遊
上演台本・演出:シライケイタ
 若松孝二が映画化した「実録・連合赤軍」の舞台版である。役者は約230名の応募者からのオーデイションから選ばれた男女20名。連合赤軍については、その顛末はもうさまざまな媒体でもうよく知られているものになっている。この舞台版は若松孝二の記念としての舞台版で、映画「実録・連合赤軍」のほぼ忠実な舞台版である。そして、この舞台版は非常に優れた舞台を成立させていた。目の前で起こるさまざまなよくしられたリンチは、目の前で行われると、映画を凌駕する生々しさが現前する。
一番この舞台で感じたのは、オーデイションで選ばれた役者たちの演技のリアリテイ。赤軍派の森や革命左派の永田を演じる役者も、我々が知らされている人間像をきっちり演じていたし、1970年代の革命を目指した若者の夢と挫折が、忠実になまなましく再現されていたのだ。この事件で、日本の急進左翼は衰滅した。ただ、革命によって資本主義社会を壊滅させるという若者たちの夢・観念が結果はどうあれ、その純粋さはこの舞台で瑞々しく感じられたのだ。その瑞々しさは、いまの革命とは全く無縁のしょうもない社会でも、若者たちは連合赤軍の役々を理解し、まちがっているとしても共感してからこその瑞々しさだと思うと、いまの若者への見方を変えさせ、感動した。私は若松の、この舞台版の元になっている映画も観ているが、映画も若松らしい立派なものだったが、この舞台版の瑞々しさは舞台だからこその成果で、シライケイタの才腕を改めて認識した。
 

by engekibukuro | 2017-03-09 07:52 | Comments(0)  

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