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7月14日(金)M「怒りを込めてふり返れ」新国立小劇場

作:ジョン・オズボーン、翻訳:木谷八也、演出:千葉哲也
素晴らしい舞台だった。わたしは1959年おの文学座初演を観て、次に母体を忘れたが2回目も観て、今回で三回目だ。初演は初演は、当時の”怒れる若者たち”の時代風潮の印として観て、次には英国の退屈な日曜日の芝居だと思って観た。つまり、この芝居の本当の真価が分からなかったのだ。なにより今回は主役ジミー・ポーターを演じた中村倫也が素晴らしい。この中村の演技に連動して、クリフ・ルシウの浅利陽介もアリソン・ポーターの中村ゆり、ヘレナ・チャールズの三津谷葉子もしっかりした演技で、舞台が引き締まった。ジミーがそのころの英国の社会や人間に際限なく悪罵を浴びせかけ、周りの人間、とくに妻のアリソンをもほんんど罵倒にちかい言葉を浴びせるのも、ジミーのその時代を生きてゆくための、最低限のプライドの保持、純粋さとして、中村の演技は納得させたのだ。千葉の演出も、美術の二村周作、照明の笠原俊幸と競合して、芝居全体の効果を盛り上げる。音楽の使い方も効果的だ。千葉の演出で、この戯曲の真価を示されたのは嬉しい。さらに、千葉は俳優だが、若い頃鐘下辰男と組んだTHE・GAZIRAというユニットで、鐘下が書いた、詩人中原中也と若き小林秀雄の一人の女性を巡る芝居で、小林を演じた千葉を思い出した。その演技もジミーを演じた中村のように激しいものだった。新国立劇場の素晴らしいヒット作だった。

by engekibukuro | 2017-07-15 07:17 | Comments(0)  

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