8月29日(火)

ヤン・コット「シェイクスピアはわれらの同時代人」を読んで、シェイクスピアの作品の中でソネットがいかに重要な作品化かが解った。ソネットは若い青年と「黒い婦人」を相手にしたものだ。谷川俊太郎が名訳だと絶賛した吉田健一訳でその中でも頂点にたつ第十八番を。
 君を夏の一日に喩えようか。
 君は更に美しくて、さらに優しい。
 心無い風は5月の蕾を散らし、
 又、夏の期限が餘りにも短いのをなんとすればいいのか。
 太陽の熱気は時には堪へ難くて、
 その黄金の面を遮る雲もある。
 そしてどんなに美しいものもいつも美しくはなくて、
 偶然の出来事や自然の變化に傷つけられる。
 併し君の夏が過ぎることはなくて、
 君の美しさが褪せることもない。
 この数行によって君は永遠に生きて、
 死はその暗い世界を君がさ迷ってゐると得意げに言ふことは出来ない。
 人間が地上にあって盲にならない間、
 この数行は読まれて、君に生命を與へる。

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by engekibukuro | 2017-08-30 10:08 | Comments(0)  

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