11月5日(日)S「動物園が消える日」唐組 雑司ヶ谷・鬼子母神

作:唐十郎、演出:久保井研+唐十郎
 今までの唐の芝居とは別種の感銘を受けた。パンフに掲載されていた扇田昭彦の的確な批評を抜粋する。
「舞台で展開したのは、地方都市の閉鎖された動物園を素材とする解体と散乱の高家である。だが、失われた時間と追われた動物たちにこだわろうとする男女たちは、散り散りになることができない。ビジネスホテルのわびしいロビーを舞台に、彼らの空転する情熱と葛藤が切ない笑いを呼ぶ。この劇はかっての唐十郎の芝居を特色づけていたロマンチックな陶酔感や高揚感はほとんどない。失われた時間の闇から深層の大過去までがせりあがり、表層の現在を戦慄させるといった輝かしい時間は顕現しない。ジョン・シルバーは沈黙している。幻想と現実はきわめてリアルな現実感覚に支えられている。冷静なわびしい現実が規定にあるからこそ、激しい幻想がほとばしる。おそらく唐十郎は、かってのような劇作術では「現在」を描けないことを知っているのだ。」これは唐のこの芝居の根柢を衝いた批評で、だからこそいまだに唐の芝居のファンは消えず、彼らは自分たちの生き方の根柢を唐の芝居から確認し、生きるよすがにしているのだ。

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by engekibukuro | 2017-11-06 09:46 | Comments(0)  

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